研究課題/領域番号 |
26780251
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 准教授 (50555068)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原価企画 / 逆機能 / 人間心理 / コスト管理 / 心理学 / 日本的管理会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、原価企画をどう実施すれば、意図しない結果(逆機能)が生じないかを心理学、マーケティングといった学際的な視点から解明するとともに、そこで果たす管理会計の役割を明らかにすることである。この目的に従い、申請から交付決定時点までに「原価企画における心理学研究の重要性」(中央大学商学論纂第55巻第4号)を公表し、その中で人間心理の視点から原価企画研究を進めていく場合に、サービス業においても有効であることを知った。 そこで、本年度は、原価企画を含むコスト管理と人間心理の観点から①サービス業、また②行政サービスを行う自治体を対象に検討を行った。結果、①では、民間の放送会社(テレビ局)の中でもローカル局を対象として、複数回にわたる訪問調査から、放送会社のコスト管理上の問題を明らかにした。具体的には、人件費の計上問題、間接費・固定費の配賦問題、スポット収入計上の問題であった。コスト管理を行っていく上で、コストの集計の仕方が従業員のモチベーションに影響を及ぼしていることを確認した。 ②では、地域活性化や行政コストの低減などが期待されている指定管理者制度の運営が現状では有効に機能していない問題について、自治体や企業への訪問調査を踏まえながら、産官学の視点から考察することで、その問題の一因には、目的意識や求められる役割の異なる地方公共団体と民間企業を適切に評価するための業績評価体制が整備されていないことが根底にある可能性を明らかにした。これを踏まえて、戦略マップを作成し、大学が地方公共団体と民間企業との調整役として、期待されていることを再確認した。①、②は、論文として公表した(②は共著)。 また、公表論文のほか、原価企画の逆機能が生じうる原因に関して、日本的管理会計、文化との関係から研究を行っており、その一部は研究会にて報告し、現在、その報告内容を再検討して論文として執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画は、原価企画を含むコスト管理の実態調査を主としており、複数の企業等に対してインタビュー調査を行うことができ、その研究成果の一部は、論文に反映されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、原価企画の逆機能がどのように生じうるのかについて、日本的管理会計の特徴とその背景から、原因の一端を明らかにしようと研究を進めており、その研究過程の中で、企業等へのインタビュー調査を並行しながら行い、実務の側面に配慮している。
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