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2015 年度 実施状況報告書

規範への信奉やアイデンティティを考慮する拡張的エイジェンシー理論による会計研究

研究課題

研究課題/領域番号 26780260
研究機関早稲田大学

研究代表者

若林 利明  早稲田大学, 商学学術院, 助教 (80705666)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードインセンティブ契約 / アイデンティティ / アドバースセレクション
研究実績の概要

本年度は、アイデンティティ係数がプリンシパルに検証不能である場合の報酬契約の性質と、プリンシパルがエイジェントに真のアイデンティティ係数を報告させる意義を論じた。本研究では、エイジェントがプリンシパルから指示された望ましい努力から乖離する場合に心理的なコストを感じる場合があると考え、その際のコストの感じやすさを「アイデンティティ係数」と名付けている。検証不能性の仮定は、現実には、例えばプリンシパルが部下を新規に登用する場合、あるいは買収した企業から経営陣を引き抜く場合などにおいて、プリンシパルはエイジェントのアイデンティティ係数を観察し、それを検証する手段を持たないことが多いことを反映している。
分析の結果、次の諸点が明らかになった。第1に、エイジェントは自身のアイデンティティを過大に報告する誘因があるから、エイジェントに真実を報告させるには、プリンシパルは真実報告レントを支払わなければならない。第2に、アイデンティティ係数が報酬契約に及ぼす影響は、アイデンティティ係数の確率分布によって異なる。そして、第3に、検証可能である場合に観察されるアイデンティティを報酬に利用する利点が損なわれるために、真実のアイデンティティ係数を報告させることができたとしても、それを報酬に利用しない方が良い場合も存在することが明らかになった。
研究の成果は、American Accounting AssociationやEuropean Accounting Associationといった海外の主要な学会において報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り研究を進められており、成果を主要な国際学会において報告することができた。

今後の研究の推進方策

第1に、本年度の成果を査読付きジャーナルに投稿する。第2に、分権化組織におけるアイデンティティの役割について考察する方向へ拡張する。研究成果は、国際学会に報告し、査読付きジャーナルへ投稿することを目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 組織コントロールにおけるコミュニケーションと業績評価の意義-エイジェントの個人属性の観点からの考察-2016

    • 著者名/発表者名
      若林利明
    • 学会等名
      第1回JARDISワークショップ(日本ディスクロージャー研究学会)
    • 発表場所
      広島県、広島市、広島県立大学
    • 年月日
      2016-03-21
  • [学会発表] Unverifiable Identity and Incentive Contracts2015

    • 著者名/発表者名
      若林利明
    • 学会等名
      the 2015 Annual Meeting of the American Accounting Association
    • 発表場所
      Hyatt Regency Chicago, Chicago, USA.
    • 年月日
      2015-08-10
    • 国際学会
  • [学会発表] Unverifiable Identity and Incentive Contracts2015

    • 著者名/発表者名
      若林利明
    • 学会等名
      38th Annual Congress of the European Accounting Association
    • 発表場所
      Scottish Exhibition and Conference Centre, Glasgow, UK.
    • 年月日
      2015-04-30
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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