研究課題/領域番号 |
26780262
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
呉 重和 名古屋商科大学, 商学部, 講師 (10705891)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | disclosure / vertical contract / Cournot competition / Bertrand competition / multisegment / cost reducing investment / quantity commitment |
研究実績の概要 |
2015年度は,研究計画にしたがい,市場環境と企業固有の状況に注目した研究を遂行した。2015年度の研究成果は投稿が年度末に集中したため,①国内学術誌1件(掲載済み)のみであるが,2016年度の研究成果として,②国内学術誌1件(掲載確定),③海外学術誌1件(査読審査中),④海外研究発表1件(審査中),⑤学会発表予定1件が予定でされている。 ①は,競争的市場環境において需要を増加させる活動をおこなうエージェンが企業利得に与える影響を分析した研究である。「競争的市場環境における分権化の影響」という題名で国内学会誌に掲載された。 ②は,川上と川下企業が存在する市場環境における企業間契約情報に注目し,不確実性を有する情報開示の状況と情報共有の状況を比較検討した研究であり,「垂直取引における企業間契約情報の共有と開示」という題名で国内学術誌に投稿し,2016年9月に掲載が確定された。 ③は,製品市場における競争のタイプに注目し,数量競争と価格競争が一致する状況を分析した研究であり,「The Equivalence of Bertrand and Cournot Equilibrium」という題名で海外学術誌に投稿し,査読審査中である。 ④は,川上企業に対して川下企業が注文する数量のコミットメントの影響を分析した研究であり,「Input Quantity Commitment in Vertically Related Industries」という題名で,2016年8月開催予定の国際カンファレンスに投稿し,審査中である。 ⑤は,複数の製品市場で競争する企業の状況を考慮し,コスト削減に関する投資の開示の影響について分析した研究であり,「マルチセグメント企業の投資情報の開示」という題名で,2016年9月開催予定の国内学会の全国大会において報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は,「競争的市場環境における報酬契約の開示による影響分析」という研究課題のもと,製品市場に注目した研究として,モデル分析1件,実証分析1件,資本市場に注目したモデル分析1件を予定した。 2015年度の成果は,モデル分析1件のみが国内学術誌に掲載された。しかし,掲載までは至らなかったものの,年度末に投稿した複数の成果が,2016年度に掲載・学会発表・proceedingsとして公表される予定である。 特に,実施予定であった実証分析は,準備段階として実証分析に特化したモデル分析が行われ,完成した原稿をもとに,2016年8月開催予定の国際カンファレンスで発表予定である。また,資本市場に注目したモデル分析は公表にまでは至らない結果になったが,方向性を変更し,マルチセグメントに直面した企業と情報開示の影響を分析したモデルとして拡張され,その結果を2016年9月開催予定の国内学会で発表する予定である。 以上から,年度末に投稿が集中したため,予定した実績(3件)の内,1件が公表済みということで,30%程度の進捗であるといえるが,2016年度予定のもの(4件)を考慮すると,自己評価として80%の進捗状況であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は,本研究課題の最終年度であり,現在までの研究成果をまとめ,公表することに注力しながら,予定計画を実施する予定である。以下今後の研究計画の概略である。 第1に,2016年8月に国際カンファレンス(Soft Computing and Intelligent Systems)にて報告予定である研究は,実証分析の準備段階としてのモデル分析であり,発表後コメント等を反映し,海外学術誌に投稿予定である。 第2に,第1の研究は,実証分析を予想して実施したモデル分析であり,今後共同研究者とアンケートを中心としたデータの収集・分析を実施する予定である。 第3に,2016年9月予定に日本管理会計学会の全国大会に投稿した成果は,発表後原稿を作成し,海外学術誌に投稿予定である。 第4に,現在第3の研究に関連し,サーベイ研究を実施しており,研究成果は「数量競争市場における投資情報の開示」という題名で国内学術誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や旅費を支出する際に発生した端数である。
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次年度使用額の使用計画 |
今後使用予定の物品費や旅費を支出する際に調整し,消化する予定である。
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