研究課題/領域番号 |
26780263
|
研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
眞鍋 和弘 名古屋外国語大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40509915)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 金融危機 / 会計制度 |
研究実績の概要 |
当該年度には、論文名"The Security Price Response to Accounting Information In the Financial Crisis"のワーキングペーパーを執筆した。当該ワーキングペーパーを2016年2月2日から4日に開催された2016 International Conference on Business and Information-Winter Sessionにおいて報告した。 本研究は金融危機における会計情報に対する資本市場の反応の変化を検討した。先行研究によって、定常時には期待外利益とそれに対する株式収益率は非線形の関係にあることが確認されてきた。しかし、本研究の結果は金融危機において線形関係にあることを示す。 この変化には、投資家の情報収集活動の変化が存在すると考えられる。利益は一時的な要素と持続的な持続的な要素から構成される。企業価値評価モデルから明らかなように、持続的な要素は一時的な要素に比べて企業価値に大きな影響を持つ。したがって、投資家は持続的な利益に関する情報を積極的をより積極的に収集する。 しかし、投資家の情報収集活動は、金融危機時において変化すると考えられる。定常時において巨額の一時的な損益を報告する企業は多くはないが、金融危機時においては巨額の一時的な損益、特に損失を報告する企業が多く存在する。仮に一時的な要素であっても、その損失が巨額であれば、企業価値に大きな影響を与えることから、投資家は積極的に一時的な利益の要素について情報収集活動を行うと考えられる。 このような考えに基づけば、期待外利益とそれに対する株式収益率は線形関係となり、実証分析を通じて、金融危機発生に伴い両者が非線形関係から線形関係に変化したことを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に続き、株式データおよび財務データに関するデータベースを構築した。そこから分析に必要なデータを抽出し、それらのデータをもとに実証分析をおこなった。新たに"The Security Price Response to Accounting Information In the Financial Crisis"というワーキングペーパーを書き上げ、2016年2月2日から4日に開催された2016 International Conference on Business and Information-Winter Sessionにおいて報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度についても、金融危機における会計情報の有用性を実証的に探っていきたい。そのうえで、金融危機による会計情報の質的変化に着目する必要がある。そのため、まず主要な財務指標の分析を通じて、企業ファンダメンタルズを確認するとともに、会計数値の特徴を明らかにする。そのうえで、会計情報の価値関連性等の研究を行う予定である。 この研究は今年度中にはワーキングペーパーとして書き上げ、学会では発表することを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね順調に進んでいるが、大学の学内制度から研究旅費の支援を受けることができたため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度の研究発表のための旅費として使用する。
|