研究課題/領域番号 |
26780268
|
研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅浩 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50708328)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 精神疾患 / 流行 / うつ病 / 精神医学 / 精神医療 / 医療社会学 |
研究実績の概要 |
本年度は、平成28年4月1日より平成29年3月31日まで所属機関において育児休業を取得していたため、研究活動を行うことができなかった。よって当該年度の研究実績は存在しない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の理由により平成28年度は研究活動を行うことができなかったが、平成27年度末時点では、すでに提出済みの「実施状況報告書(平成27年度)」の通り研究はおおむね順調に進展している。よって現状としては研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、精神疾患の流行に関する社会学的知見の集約と理論化、研究成果の公開等を行う予定であったが、上記の理由により前年度の研究活動が行えなかったため、当初の計画では平成28年度に実施予定であった次の研究を実施する。すなわち平成27年度までに実施された聞き取り調査を継続して行う一方で、これまでの調査から得られたデータを理論的な側面から検討する作業を行う。その際、本研究では科学哲学者のI.Hackingが行った精神疾患の流行に関する一連の研究を理論的な支柱として参照する。すなわちHackingは、ヨーロッパや北米で歴史上のある一時期に注目され、患者の増加をもたらした精神疾患を歴史的・哲学的に分析する中で、ある精神疾患が流行する背景としては、(1)その疾患に対する医学的分類をめぐる論争、(2)その疾患に付与される両極端な文化的意味づけ、(3)当該の疾患を社会的に可視化する知や制度、(4)その疾患概念が人々に与える解放の感覚という4つの要件が関与していることを指摘した。また彼は、特定の精神疾患が社会の中で増加した後、次第にその疾病概念が専門家や当事者によって使用されなくなり、患者が減少していく現象について精神医学的知識のlooping effect(ループ効果)という概念から考察を行っている。本研究においては、上記のようなHackingの分析概念を援用しつつ、彼が指摘するような精神疾患流行の要因が現代日本においても観察できるかどうか、またカテゴリー化された人々(=精神医学的な診断を受けた人々)と当該のカテゴリー(精神医学的な疾病概念)のあいだに、時代的な変化もふくめ、どのような影響関係が存在する(した)のかについて、理論的・実証的な考察を行う。
|