研究課題/領域番号 |
26780275
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
茅野 恒秀 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (70583540)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域資源 / 自然資源管理 / 資源化のダイナミズム / 再生可能エネルギー / 森林資源 / 遠隔地域間連携 |
研究実績の概要 |
3年間の研究期間の2年目となった平成27年度は、研究開始時に計画した調査対象地域における取り組みの他、初年度に探索的に把握した、有益な先進事例・進行中の事例への関与を深めつつ、研究を実施することができた。 群馬県みなかみ町における「赤谷プロジェクト」を中核とした森林生態系保全活動およびその森林から得られる木材の付加価値創出の取り組みについては、1年を通じて継続的に現地を訪れ、みなかみ町役場、赤谷プロジェクト地域づくりワーキンググループと連携した調査と現地関係者の支援を実施した。とくに、みなかみ町が推進するユネスコ生物圏保存地域(BR、国内名称「エコパーク」)指定活動に関連して、冊子『みなかみ町の自然とくらし』を監修するとともに、近世から現代にかけての当地における自然資源の資源化の歴史的経過を俯瞰する研究成果を発表することができた。 あわせて、主要調査対象地域における地域資源の「資源化のダイナミズム」の特質を捉えるために参照すべきと考えられる森林資源、再生可能エネルギー資源などの活用に取り組む先進事例・進行中の事例として、秋田県鹿角市(地産地消型需要家PPS、水力・地熱エネルギー)、岩手県一関市・矢巾町(水資源をめぐる合意形成過程)、長野県松本市(水力エネルギー)、同上田市(太陽エネルギー)、同安曇野市(里山保全・再生に向けた地域産材活用、住民参加型プロジェクト)等の現地調査を実施した。再生可能エネルギーについては、論文3編を発表することができた。 また、資源化のダイナミズムとともに、その維持・保全にかかる社会過程を把握するために、長野県宮田村と伊那市において林産物、農産物等を介した遠隔地域間連携の取り組みに関する情報収集を試みた。これらの事例を開拓したことで、遠隔地域間連携による地域資源管理の社会的技術の構築と持続性確保に関する展望を得る知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の開始時点で予定した対象地の他、新たな調査対象地を長野県内において開拓することができ、より豊富な情報を得たことはプラスと評価している。これら調査地は、主要対象地の現状と展望を参照する対象として機能し、主要対象地の現地関係者への情報提供や新たな「資源化のダイナミズム」の創出に寄与することができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の最終年度となる平成28年度は、各地の現地調査を実施するとともに、地域資源管理の社会的技術の体系化に向けて、資源化のダイナミズムの過程ならびに地域資源管理の枠組み構築と利益・便益分配過程の把握と諸要因の連関の解明に取り組む。 主要調査対象地(みなかみ町)に限らず、現地関係者とのインタラクティブな協力関係を構築している鹿角市、松本市、上田市、安曇野市、宮田村等においては、他地域の調査研究から得た知見を積極的に情報提供するとともに、それらへの応答過程を把握するアクション・リサーチを行う。 研究成果は、みなかみ町調査をふまえて、赤谷プロジェクトを中心とした地域資源管理に関する単著原稿として集積することを最優先とするとともに、各地域の研究成果を、学会発表や論文投稿を通じて公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象地域への旅費が当初計画よりも安価で遂行できたこと、および人件費として見込んだ聞きとり調査結果の音声おこし業務を次年度にまとめて実施することとしたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成28年度請求額とあわせて、みなかみ町調査と人件費に使用する。
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