事例の分析により、多様な関係者の絡まり合いと監視カメラがもつ意味の固定化の作用が相互に影響を及ぼし合った結果、監視社会化が進展するという具体的な過程が明らかになった。また、社会問題の記述に関しては、フィールドにおいて言及されないが、人びとの実践の基盤となっているものに目を向ける必要があり、それを批判的実在論の観点から検討できる可能性を明らかにした。さらに、本研究は、現代社会で頻発する不確実性と集合行動の発生に関する多様な現象とも共通するメカニズムに言及していることから、それらを理解するための基盤となりうることを指摘した。
|