研究課題/領域番号 |
26780284
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
渡邉 大輔 成蹊大学, 文学部, 講師 (20629761)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス / 高齢期 / 生活時間 |
研究実績の概要 |
本年度は、国内外の最新の知見を専門書で確認し、生活時間分析とWLB調査の課題を抽出おこなった。また国内の生活時間調査である「社会生活基本調査」の2次分析を行い、高齢者を対象とした簡易版生活時間調査における活動内容項目の選定を行った。 具体的には、高齢期の活動を想定した際に「社会生活基本調査」でもちいられている20項目をもちいた調査では、詳細な把握が可能なものの、コストをかけることができないWEB調査や郵送質問紙調査を行うことが難しいことを考慮し、理論面などを考慮して8項目に厳選して、その妥当性を検討した。8項目は高齢期であることを考慮し、「睡眠」「身の回りの用事(食事、入浴、着替え、排せつ等)」「就労」「家事」「介護」「育児」「活動的な余暇(サークル活動、趣味活動など)」「受動的な余暇(テレビ視聴など)」とした。余暇活動の2分類は、活動の自発性を測定するために導入した。 理論的に導出された簡易版生活時間調査8項目の妥当性の検討するために、社会生活基本調査による2次分析とインタビューによるプレ調査を行った。社会生活基本調査による分析では、「育児」の必要性についてはその有用性を含めて疑問があり、「介護」と「育児」を「ケア活動」とするべきか検討を要することが明らかとなった。プレ調査は、武蔵野市および他市に在住する高齢者5名を対象とした。ただし、WEB画面の準備は間に合わなかったため、紙面による確認を行い概ね、想定通りの結果をえた。上記から、本年度の目標である簡易版生活時間調査の作成については、おおよその完成を見たが、介護と育児を分ける8項目版か、ケア活動とする7項目版のいずれかがよいかの検証が、課題として残った。 なお、本年度に海外調査を予定していたが、次年度の本調査(モニタへのWEB調査)における経費を確保するために調査を行わず、この経費と次年度の経費を合算して調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、簡易版生活時間調査の質問票を開発し、他の属性を含めたWEB調査を行い、高齢期の日常生活のパタンを類型化を試みること、さらに類型化したパタンを他の変数をもちいて分析することで、高齢期のWLBの実態とそのメカニズムの解明を行うことにある。 初年度では、簡易版生活時間調査の質問票の開発に焦点をおき、7項目版と8項目版の2パタンの比較を行うことで、2年度目に予定している実査に向けた準備作業を行った。準備作業はおおむね順調に推移しているが、2パタンのいずれかがより妥当な調査票かの検証は完了しておらず現時点での課題となっている。なお、類型化のための系列分析についてはその有用性を確認しており、最終的な項目数の検証を終えることで、すぐに実査に移ることができる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目は、初年度の知見を活かし、調査票の再設計を行う。またWEB調査を予定しているため調査会社と緊密に連携し、有効なWEB調査画面の開発を行う。本調査となるWEB調査による実査を11月に行う。実査後は、分析のためのデータ整理作業を行う(10~2月)。また、10月、11月に関連する国際会議(アジアオセアニア老年学会議、アメリカ老年学会)や国内学会(日本社会学会)にて報告し、多領域の専門家と交流しフィードバックを受け、直前まで調査票の改良に努める。 3年度目は、データの確定後、統計分析を行う。調査結果を学会報告および査読論文としてまとめる。また、最終的に3つ程度の実行可能な提言をまとめ、高齢問題のアドボカシー団体である国際長寿センターを通じて、行政への政策提言、一般への啓発活動を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、3年計画の1年目にあたる本年度に物品購入と海外への学会出張を予定していたが、2年目の本調査(モニタへのWEB調査)に資金を注力する必要があるため計画を見直し、1年目と2年目の資金を合算して2年目に行う本調査に資金を充てる。 なお、1年目に予定していた先行研究の渉猟と調査票の開発自体は進展しており、2年目に調査を行うための作業は調査票の開発に若干の遅れはあるもの、予定通り2年目の11月に実査を行うことができるペースで進行している。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目にあたる2015年度に行う本調査(モニタを対象としたWEB調査)に、1年目の未使用分の経費と2年目に予定していた経費を合算してもちいる。なお、2年目は国際学会報告を予定しており、この経費については計画通りである。
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