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2015 年度 実施状況報告書

平時および被災地域における地域通貨の「流通」と「効果」に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26780287
研究機関明治大学

研究代表者

中里 裕美  明治大学, 情報コミュニケーション学部, 准教授 (20555586)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード地域通貨 / 社会ネットワーク分析
研究実績の概要

本研究プロジェクトの目的は、平時の地域コミュニティならびに東日本大震災の被災地域において住民同士の助け合いを促進することを通して地域コミュニティの再生/活性化に取り組む地域通貨活動を取り上げ、それらの社会・文化的環境の異なる場所における事例を比較しつつ地域通貨の「流通」の実態、ならびに地域社会にもたらされる「効果」の様相を明らかにすることである。
本研究プロジェクトの2年度目にあたる昨年度は、平時の地域コミュニティにおける地域通貨については、千葉市の「ピーナッツ」の取引記録データについて計時的なネットワーク分析を行った結果をまとめた論文が、国際ジャーナル誌『VOLUNTAS』の査読を経て、掲載された。また、被災地における地域通貨については、釜石市の「どうも」を対象に2015年3月に実施した第一回質問紙調査のデータの整理・集計を行い、これを記述した論文を『明治大学教養論集』に発表することができた。
また、2016年3月には釜石市の「どうも」を対象とした第二回目の質問紙調査を実施することができ、現在そのデータの整理・集計を進めている。
このほか、「どうも」において実施した第一回調査データと取引記録を併用して分析した結果をまとめた論文が、12th International Conference for Third-Sector Research(=ISTR、2016年6月28日~7月1日の間、スウェーデン・ストックホルムにおいて開催)の論文発表のセッションに採択され、口頭報告を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」のところに記述した研究目的に沿った形で、本研究プロジェクトの2年度目は、地域通貨の「流通」実態およびその地域社会への「効果」を明らかにする際に必要となる時系列のネットワーク分析手法の習得に努めることができたと考えている。
また、上述した『VOLUNTAS』誌への論文の掲載や被災地における地域通貨(主として、釜石市の「どうも」)の計時的な「流通」実態のネットワーク分析を行った論文が、国際学会(ISTR)に受理されたという点からも一定の成果を得ることができたと考えている。
他方で、「どうも」において実施した質問紙調査のデータに取引記録データを併用した「効果」に関する解析については現在のところやや遅れており、今年度は集中して分析をすすめる予定である。

今後の研究の推進方策

本研究プロジェクトをはじめるにあたって「交付申請書」に記述した3ヶ年間のスケジュールの3年度目(平成28年度)の研究計画に沿った形で、ひきつづき研究を進めてゆく。
次年度においてはとくに、被災地の地域通貨(釜石市の「どうも」)においてこれまで2度にわたり実施した質問紙調査のデータに取引記録データを併用した解析を集中的に進める。そして、平時および被災地の地域通貨活動の事例分析の結果を比較しつつ、地域通貨の「流通」と「効果」の有機的関連性について考察を行う。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は本研究の代表者および研究協力者が使用するネットワーク解析用のソフトウェアの購入が見込まれたため予算の前倒し請求を行ったが、当初の予想よりも安く購入できたことにより、次年度繰り越しが生じた。しかし、それ以外はほぼ当初の計画通りに研究費の使用ができたと考えている。

次年度使用額の使用計画

本プロジェクトの次年度の研究費の主な使用用途としては、本研究の成果を国内外に発表するために必要となる英文校閲費や外国旅費になると考えている。
このほか、被災地における地域通貨組織の継続調査とその調査結果のフィードバックを行うための国内旅費や印刷・製本費、ならびにデータ入力・整形の補助業務に携わってもらう補助者等への謝金が必要になる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 東日本大震災の被災地域における「復興応援地域通貨」を媒介したネットワーク-岩手県釜石市の「どうも」を事例に-2016

    • 著者名/発表者名
      中里裕美
    • 雑誌名

      明治大学教養論集

      巻: 513号 ページ: 1-19

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Evolutionary Process of Social Capital Formation through Community Currency Organizations: The Japanese Case2016

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Nakazato・Seunghoo Lim
    • 雑誌名

      International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations

      巻: 27 ページ: 1171-1194

    • DOI

      10.1007/s11266-015-9631-x

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Community Rebuilding Processes in a Disaster-damaged Area through Community Currency: The Pilot Project of “Domo” in Kamaishi2016

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Nakazato・Seunghoo Lim
    • 学会等名
      12th International Conference for Third-Sector Research
    • 発表場所
      Ersta Skondal University College (Sweden)
    • 年月日
      2016-06-28 – 2016-07-01
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本における地域通貨の多様性と進化2016

    • 著者名/発表者名
      宮﨑義久・吉田昌幸・小林重人・中里裕美
    • 学会等名
      進化経済学会第20回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京)
    • 年月日
      2016-03-26 – 2016-03-27

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公開日: 2017-01-06  

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