本研究の目的は、1990年代以降急激に増加した日系南米人による集住が、地域社会および地域住民に対して与えた影響を、時系列的な変化および地域間の差異に着目しながら明らかにすることである。したがって、本研究は、①日系南米人集住地域における外国人受け入れ意識の時点間比較、②外国人受け入れ意識に与える地域的文脈効果の検証という2つの課題から構成される。 以上の課題を達成するため、平成26年度は、まず、日本における外国人集住地域に関連する各種資料や先行研究の収集・整理を行った。こうした取り組みによって、日本の外国人集住地域における社会学的研究、および在日外国人に対する態度・意識研究の到達点が明らかになり、平成27年度に実施する調査の計画をより精緻化することができた。 また、研究代表者が過去に実施した調査データの再分析、および他の社会調査データの二次分析を実施した。これにより、本研究における課題がより明確になるとともに、本研究における調査結果と比較を行うためのデータ整備を進めることができた。なお、平成26年度の研究成果の一部は、大東文化大学経済研究所が主催するシンポジウム(「移民・人種と地域社会--アメリカと日本の現状から」)において発表したほか、北海道社会学会大会において研究発表を行った。 また、平成26年度は、新聞記事のデータベースを用いて「大泉町」「豊橋市」「浜松市」といった各外国人集住地域に関連する新聞記事の収集を行った。これにより、本研究の目的である「時点間比較」、および「地域間比較」を行うための基礎的な資料の整備が進んだと言える。
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