本研究の目的は、1990年代以降、急激に増加した日系南米人による集住が、地域社会および地域住民に対して与えた影響を時系列的な変化に着目して明らかにすることである。平成28年度に実施した予備調査により、群馬県太田市・大泉町などの外国人集住地域において、南米系の外国人住民数は減少を続けているものの、現在も引き続き居住している人たちに関しては、日本社会への定着が着実に進んでいることが明らかになった。 こうした結果を踏まえ、平成29年度は、日系南米人集住地域における外国人の受け入れ意識を明らかにするため、群馬県前橋市および太田市において調査を行った。群馬県前橋市および太田市の選挙管理委員会に選挙人名簿から18歳から79歳までの有権者をそれぞれ700名の調査対象者を無作為に抽出し、2018年3月に郵送による調査を実施した。 また、日系南米人集住地域における外国人の受け入れ意識の特徴を、全国における調査結果と比較するため、同一の内容の調査票を用い、全国の人々を対象にしたWEB調査を実施した。郵送による調査と同様に、18歳から79歳までの男女を調査対象にした上で、10代および20代、30代、40代、50代、60代、70代の男女各層に標本の均等割り付けを行い、合計828票の有効回答を得た。 このような郵送調査およびWEB調査を実施することにより、2008年のリーマン・ショック以降の日系南米人集住地における外国人受け入れ意識の特徴、およびその変化を明らかにするためのデータが得られたと言える。
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