本研究の目的は、私有地において地域共同性が生じるメカニズムを明らかにすることである。私有地にもその用途によって土地と人びととの関わり方には違いがあると考えられるので、今回は農地をおもな分析対象として事例調査をおこなうことにした。 先行研究の整理および事例調査から、私有地の利用や管理に地域住民が関わる根拠として、地域住民が地域の空間に対して自分たちの地域の土地であるという所有意識を共有し、その土地の保全を「ムラ仕事」と位置付けているということが考えられた。そのような意識、位置づけには、快適な地域生活を送るための景観形成とアイデンティティの問題が関わっていると考えられた。
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