本研究は、社会調査データ分析によって、原発・失業・犯罪という3つのリスクに対する不安の社会的形成要因とその社会的帰結を実証的に明らかにした。原発リスク不安については、ジェンダー・世代・社会階層による属性差がみられ、それは平等主義といった価値を媒介して、リスク不安に影響を与えていた。失業リスク不安については、国際比較分析の結果、積極的労働市場政策といった制度要因が不安の水準と階層性を低めることを明らかにした。犯罪リスク不安も含めて、3つのリスク不安を比較分析すると、社会階層、ジェンダー、世代、国によってリスク不安は異なり、リスク不安は普遍化しているわけではないことが明らかになった。
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