研究課題/領域番号 |
26780300
|
研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
打越 正行 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (30601801)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 暴走族 / ヤンキー / 沖縄 / 参与観察 / 生活史 / 地元 / 貧困 / 若者 |
研究実績の概要 |
本研究「沖縄の暴走族・ヤンキー若者たち、その後――5年にわたる参与観察と生活史調査から」は、沖縄の下層若者を対象とする追跡調査である。 調査を開始した2007年当時、沖縄の暴走族・ヤンキーの若者の多くは、家族関係が不安定で、小学校・中学校に通学した実績がほとんどなく、安定した仕事に就いていなかった。彼・彼女らがその後、どこで、誰とどのようにつながり、どのような経験を重ねたかのか、そして現在、どのような仕事(違法就労を含めて)に就き、どのような世界に住んでいるのかについて追跡調査することが、第一の目的である。 続いて、そこで明らかになった沖縄の下層若者の仕事と生活の実態に即して、先行研究で用いられている概念や枠組みの転換・発展を図ることが、第二の目的である。ポール・ウィリスの再生産論「なぜ野郎どもは一見不利に見える親が就いている製造業に就くのか」を、現在の沖縄で展開することが主題である。沖縄の下層労働(建築業・風俗経営業、違法就労業)の再生産が可能となるために、移動も制限され、往々にして暴力を含むつながりのあり方が形成されていることを指摘した。そのようなつながりのあり方を描くことで、彼らが下層労働に主体的に就く過程の再生産論として展開した。 当初は3年の計画であったが、研究代表者の生活の変化から1年延長となった。現時点で、予定していた参与観察、生活史調査は無事にすすんでおり、その成果の一部は学会報告、論文として成果を公開している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請段階では3年計画であったが、4年に延期されたため。研究代表者は、28年度に研究課題を遂行しながら、臨時雇用の職に就いた。それにより28年度の研究活動が著しく遅れた。29年度は大学非常勤へと転職し本研究課題に重点的に取り組む。なお本課題の進捗状況は以下の通りである。 (1)沖縄での生活史調査(8月、12月)。調査対象は、1)金融系の違法就労に就いている 20 歳前後の男性たち(宜野湾市のファーストフード店)、2)違法性風俗店を経営する20代前半の男性(沖縄市の繁華街)、3)キャバクラ店で働く10代の女性たち(うるま市の喫茶店)の3つである。これらの調査対象者に、それぞれ少なくとも2回は調査を実施した。 (2)沖縄での参与観察(26・27年度の8月、12月)。調査対象は、1)建築業に就いている10-20代の男性たち(沖縄県内の建築現場)、2)不安定就労状態にある20代前半の男性たち(北中城村バイク倉庫)の2つである。 (3)学会報告(2014年9月、生活指導学会、2016年6月、子ども社会学会)。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成29年度は、前半は調査データの分析、また調査対象者とのチェックをすすめ、論文執筆、学会報告等をすすめる。後半には、報告書の執筆(1-2月)と沖縄での研究報告会(3月)を実施する。
研究計画が1年延長となったが、今年度は研究に集中できるように転職し仕事量を減らして体制を整えた。これにより、本研究課題の最終年度に進める作業に集中でき、単行本の発行をすすめることができる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
社会理論・動態研究所は、研究代表者の研究活動の所属先である。ただし、それはNPO法人であり、生計を営むための十分な収入をそこから得ることができない。そのため、研究代表者は28年度に研究課題を遂行しながら、臨時雇用の仕事に従事する必要があった。それにより、28年度の研究活動が著しく遅れてしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
29年度は大学非常勤へ転職し、本研究課題に重点的に取り組む。そのために、経費の一部を29年度に繰り越し、本計画に集中できる体制をとる。
|
備考 |
研究成果をまとめたホームページ「打越正行の研究室」 http://blog.goo.ne.jp/uchikoshimasayuki
|