研究課題/領域番号 |
26780304
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小熊 仁 金沢大学, 地域政策研究センター, 助教 (00634312)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スペシャルトランスポート / NPO / 社会的包摂 / 福祉有償運送 / デマンドサービス |
研究実績の概要 |
本研究は、NPOや社会福祉協議会などが取り組むスペシャル・トランスポートサービスについて、国内外を網羅した多角的な調査を実施し、高齢者や障がい者に対するアクセシビリティの確保や移動機会の保障のあり方について現状理解を深め、国際比較の観点からどのような制度設計や制度改革が求められているのかに関して政策提言につなげることを目的としている。平成26年度は以下のことを実施した。 第1に、既存調査研究の整理である。本テーマについては、交通政策や土木計画学のほか、社会保障論や福祉政策など様々な立場から考察した様々な研究が存在する。そのため、分野のカテゴリー別に調査研究を整理してそれらの論点をまとめ、分析の視点や基礎的土台を築くことに注力した。 第2に、以上の既存調査研究の検証から、本研究の最終目標であるサービスの制度設計や制度改革に関わる政策提言に向けた具体的な分析をすすめるため、調査フィールドを選定し、翌年度の調査分析に向けて分析モデルの構築、テスト、プレアンケートの作成を行った。 第3に、高齢者や障がい者に対するアクセシビリティの確保や移動機会の保障をめぐる取り組みを国際的に比較する目的から、欧州のスペシャル・トランスポートサービスに関わる事例調査を実施した。ここでは、学内協力者の支援を受け、当初予定していた英国のCommunity Transport Associationに加え、Syndicat des Transports de Haguenau et Schweighouse-sur-Moder等合計4か所の事例を調査することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に予定した計画は、 ①国内および海外調査対象地域の選定・調査、 ②既往研究の整理と文献のサーベイ結果に関する報告&論文執筆 ③査読論文の投稿に向けた原稿執筆作業と原稿の提出 の3点である。 ①では、学内協力者の協力のもと当初予定していた英国に加え、フランスでも調査が実施され、幅広い調査ストックが蓄積された。国内調査に関しては、既往研究の調査分析から調査フィールドが選定され、翌年度のフィールド分析に向けての足掛かりを築くことができた。②、③では具体的な成果を出すまでには至らなかったものの、交通政策論、土木計画学、社会保障論、福祉政策論等広範囲な研究のサーベイを網羅することができ、本研究の位置づけの確認と成果の導出に向けての基礎を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成27年度は、次のことを重点的に行う予定である。 第1に、研究の推進に関しては引き続き既往研究の検討と文献の継続的なサーベイをすすめ、基礎的土台の強化につとめるほか、第二回目の海外調査対象地域選定と調査を実施し、事例の蓄積につとめる。また、国内では、調査フィールド候補地を対象にヒアリングおよび利用者に対するアンケートを行い、以上の文献レビュー、海外調査の成果とともに具体的な政策提言に向けた活動を積極的に推進する。第2に、成果の公表については内容がまとまり次第早急に行っていく予定である。あわせて、これまでの成果を国内学会あるいは国際学会で公表する。これらによって、本研究の成果を広く公表していく予定である。
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