2014年5月~2020年3月までに34名が研究に参加し、4名がリワークプログラム途中で脱落したため(脱落率11.8%)、30名がプログラムを完遂した。30名の参加者の属性は男性25名、女性5名、平均年齢37.1歳±8.7歳、うつ病8名、双極性障害6名、適応障害16名であり、発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD)を合併していた者が11名であった。プログラム開始前の平均合計休職期間は13.1±7.5ヵ月(最小値3ヵ月、最大値28ヵ月)、平均休職回数は2.2±1.8回、プログラム平均実施期間は123.9±65.4日であった。 認知機能、社会適応度、性格傾向、復職準備性、職務遂行能力、精神症状が、プログラム開始時と比較して有意に改善した。 30名中、企業と連携し環境調整が行えた者は18名であった。実施された職場環境調整数はのべ127件であり、最も多かった調整は、「コミュニケーションを促進する調整」で「仕事内容を修正する調整」が続いた。再就職希望により地域の障害者就業・生活支援センターやハローワークと連携できた者は1名であった。リワークプログラムには地域のハローワークの障害者担当職員と障害者就業・生活支援センター職員に定期的に参加してもらった。地域とのネットワークを生かしたリワークプログラムが確立できた。 こうしたプログラムを実施した30名のうち復職または再就職出来なかった者は1名であり、復職率は96.7%であった。 また、復職後1年間経過を追えた19名のうち退職した者は2名であり、1年間の就労継続率は89.5%であった。 プログラムの脱落率が高いため、プログラムの導入基準の明確化や、より準備性の要素の高い事前プログラムを用意する必要性が考えられた。
|