研究課題/領域番号 |
26780306
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小山 明日香 熊本大学, その他の研究科, 助教 (50710670)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症 / 介護負担 |
研究実績の概要 |
本年度は、認知症介護者の世代による介護負担感の違いを検討した。64歳以下の介護者46名と65歳以上の介護者58名で、介護負担感と健康関連QOLを比較した。対象は、認知症専門外来を受診した患者の介護者である。介護負担感と健康関連QOLに評価には、それぞれZarit Burden Interview(ZBI)およびShort-Form-8(SF-8)を用いた。その結果、両介護者群でZBI得点およびSF-8の身体的サマリースコア(身体的QOL)、精神的サマリースコア(精神的QOL)ともに有意差はなかった。なお、64歳以下の介護者が介護する認知症者と、65歳以上の介護者が介護する認知症患者で、認知機能(Mini Mental State Examination: MMSE)や認知症の心理・行動症状(BPSD)(Neuropsychiatric Inventory: NPI)に有意差はなかった。重回帰分析の結果、64歳以下の介護者では患者のBPSDが強いほど精神的QOLが低く、65歳以上の介護者では男性より女性のほうが、また患者のIADLが低いほど精神的QOLが低かった。以上の結果より、若年の介護者と高齢の介護者で介護負担感および健康関連QOLには違いはないが、それらに関連する要因が異なる可能性が示唆された。 また、本研究の最終目標である、認知症患者家族の介護負担感が患者の症状や進行に影響するかどうかを明らかにするために、今年度もデータの蓄積を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症患者の介護負担感に関して縦断的にデータを収集しつつ、横断的な分析をいくつかの側面から実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1)意味性認知症の介護者の介護負担感についての横断的検討、2)認知症介護者の介護負担感が患者の症状や進行に及ぼす影響についての縦断的検討、を実施予定である。1)の意味性認知症は、言語の障害が特徴的な神経変性疾患である。アルツハイマー病等に比べると稀な疾患であり、国内外で介護負担感についての研究は極めて少ない。そのため、本研究で意味性認知症患者の介護者への支援のあり方について示唆を得ることを目的とする。2)では、介護者の強い介護負担感や介護ストレスが患者に及ぼす負の影響があるのかを検討し、介護負担感を軽減するための支援のあり方についての示唆を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は、海外で開催される国際学会での研究発表を行わなかったことなどから、当初予定していた額に余りが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画では、28年度以降は設備備品費に関する予算を計上していなかった。27年度に生じた次年度使用額を設備備品費にあて、関連資料等研究遂行に必要な備品を調達する。
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