本研究の目的は「医療・介護・福祉サービスを必要とする独居高齢者がタイムリーに情報を得て、自分が望む生活を叶えられるようなサービスを選択し利用するためにはどのような支援が必要か」を明らかにすることである。 ①独居高齢者の支援に携わる専門職(地域包括支援センターや相談支援センター、成年後見センター、連携室等)および②65歳以上の独居高齢者を対象に、半構成的インタビューを行った。①専門職には、独居高齢者の望む暮らしやサービス利用に関する希望をどのように把握しているか、サービスの選択・利用にあたり高齢者に情報提供および説明をしている内容等について、②独居高齢者には、ケアサービスの存在や相談窓口についてどのくらい認識しているか、サービスの種類や利用方法について情報を得て選択に至ったプロセス等についてインタビューした。 ①より、専門職は、高齢者から語られた困りごとや希望に合わせて対応するだけでなく、本人が自覚していないニーズも含めアセスメントし、サービス利用について選択肢が広がるよう提案したり、認知症で記憶障害のある場合にも図示や短時間での説明を繰り返して本人の意思を引き出し支援に活かすなどしていた。②より、独居高齢者は、地域包括支援センター等の相談窓口を知らない人が多く、サービスの存在や種類についても、身近な人の利用経験がある場合以外はほとんど知られていなかった。よって、高齢者の望む生活を支えるサービス利用にあたっては、支援者側からの十分な情報提供と意思形成支援・意思表明支援が必要であることが示唆された。得られたデータを質的記述的に分析し、成果発表に向けて準備中である。 また、南オーストラリア州の意思決定支援実践的ファシリテーショントレーニングの日本版プログラム開発にも参画した。本人が自分で決める権利を守ることの大切さや、希望を引き出すファシリテーションスキルを今後広めていきたい。
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