最終年度である今年度は、生活支援と健康増進のアルゴリズムに関して、事例を通して検討を行った。要支援2の認定を受けたA氏は、脳血管障害後にガスコンロの使用を住まいの管理人に制限されていた。そこで、火を使用しない調理法を習得することを目的に、電子レンジで温野菜のような簡単な食事が準備できるよう訪問Cで助言を行った。助言の際は、運動機能や認知機能に関する評価や支援は可能な限り省略した。その結果、合計3回の助言で課題は解決し、事例の作業遂行能力やIADLの実施状況も改善した。この事例だけでなく、他の事例においても4ヶ月前後の期間に3~6回のリハビリテーション専門職(今回は作業療法士のみ実施)による助言を行うことにより、生活行為が改善することが明らかになった。一方、事例の中には生活行為は改善したものの、健康関連QOLが低下した者もおり、生活支援と健康増進のアルゴリズムが課題であることが明らかになった。 今回の研究を通して、短期集中予防サービスは終結ありきで実施することが大前提であること、延長はしないこと、生活行為の課題を特定することが重要であることが明らかになった。特に、生活行為への支援を行う際には「目標設定」がもっとも重要であり、目標設定のための多職種連携、ひいては勉強会等が鍵になることがわかった。今回のテーマである「介護予防事業におけるサービス提供最適化のためのアルゴリズム」とは、各専門職は生活行為と健康増進を分けて検討することが重要であり、生活行為と健康増進が両輪となって健康寿命の延伸につながるよう取り組むことがより良いアルゴリズムにつながるのではないかと考えられた。
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