研究課題/領域番号 |
26780310
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
五味 郁子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (80363852)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域高齢者 / 要支援高齢者 / 低栄養予防 / 介護予防 / 食生活 / 地域資源サービス |
研究実績の概要 |
申請者は、平成23-25年度科研費によって、地域高齢者の個別の食生活状況に応じて地域資源サービスを紹介するインターネットシステム”食生活サポートナビhttp://shoku-support.com”を開発した。一方、介護予防・日常生活支援総合事業の導入により、市町村は要支援者に対する支援体制を充実・強化することが求められるようになり、食生活サポートナビの活用幅を拡大することが期待される状況となった。 そこで、本研究の対象者「地域高齢者」に要支援高齢者を含めることとし、今年度はモデル地区の要支援高齢者のうち、栄養・食生活に何らかの問題があると社会福祉士が判断した11名に対して、食生活サポートナビを試用し、要支援高齢者の食生活の問題点を把握するとともに、把握方法、把握した場合の対応方法について検討した。 その結果、前年度までに蓄積した自立高齢者の食生活状況(スコア化したデータ)に比べて、要支援高齢者では、食事回数、肉・魚・卵・大豆製品の摂取頻度、嚥下、食欲、調理、買物について低スコアを示し、問題を有していることが明らかになった。また、82%の人がこれらの食生活の問題を5個以上併せ持っていることが明らかになった。社会福祉士は、要支援高齢者が複合的に有する食生活の問題のうち、食欲の低下、調理の困難については高率に把握していたが、肉・魚・卵・大豆製品や牛乳・乳製品の摂取頻度が低い、買物の困難については把握に至っていなかった。以上より、食生活サポートナビは、食生活の問題を網羅的に把握するとともに、その対応について優先順位をもって示すことが可能であることから、要支援高齢者においても活用が期待されることを示した。この結果をもとに、今後、地域資源サービス紹介事例を蓄積するとともに、地域資源サービスのネットワーク化を検討することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象者である地域高齢者に要支援高齢者を含めることとしたため、要支援高齢者における現状把握を先に実施した。 申請者が休職したため、研究の進行が中断された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度対象とした要支援高齢者をモデルケースとして、今後、地域資源サービスとの連携事例を蓄積する。地域資源サービスとのやりとりは試験的に紙ベースで行い、プロセス評価を実施したうえで、食生活サポートナビのシステム変更を行う。 申請者が休職したため、研究の進行が約1年遅れになると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の対象者に要支援高齢者を含め、今年度は要支援高齢者の食生活状況の把握について調査を実施したため、使用額が計画より大幅に減少した。また、申請者が休職したため、研究の進行が中断された。計画において1年目に計上していたシステム開発委託費、および、打ち合わせ会議費、郵送費、旅費等は、2年目に繰り越して必要となる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に計画していた地域資源サービスの連携事例を蓄積する。具体的には、モデルケースを通して地域資源サービス紹介フォーム、情報提供機能、食生活状況モニタリング機能を検討し、既存の食生活サポートナビに機能の追加を行う(システム開発委託費)。また、モデルケースに関連する地域資源サービスの担当者を招集し、症例検討会および食生活サポートネットワーク化の意見交換会を開催する(会議費、会議案内郵送費)。
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