本研究は、地域在住高齢者の個別の食生活状況に応じて、地域サービスを紹介する「食生活サポートナビ」を活用し、食生活サポートネットワークを構築することを目的に展開した。 最終年度は、A市在住高齢者を対象に実施した「買物困難に関するアンケート調査」のデータを用いてロジスティック回帰分析を行い、「食品摂取の多様性」に有意な関連が認められた6項目に「食生活サポートナビ(以下、食サポ)」の質問項目を簡素化した。その結果、「食事のしたくを頼める人がいるか」「宅配サービスの利用」「おすそわけ(ご近所づきあい)」「食費」「買物困難感」の6質問の回答状況に応じて、地域の自助・互助サービスを紹介するシステムにリニューアルした。また、食サポを利用した人が食生活に心配や不安がある場合には、A市社会福祉協議会の管理栄養士につながる仕組みとし、必要に応じ他サービスとの調整等ができる体制をとった。リニューアルした食サポを試験的に18名が利用し、今後の「食生活サポートナビ」活用の課題を明らかにした。 研究期間をとおして明らかになった点はつぎのとおりである。 1)地域在住高齢者のうち要支援高齢者は、食生活に関する課題を複数あわせ持つ人が多い。それらの課題を社会福祉士等が把握し、対応をしているが、食品群の摂取状況や買物困難については十分に把握できていなかった。 2)地域在住高齢者の食生活をサポートするには、低栄養に直結する食生活状況よりも「上流」でチェックを行うことが必要であり、その6要因を本研究で示した。食サポ活用ならびに相談の拠点を社協としたことで、フレイルや閉じこもり高齢者への活用が今後期待される。
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