研究課題/領域番号 |
26780311
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 ゆかり 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20551815)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症ケア / 介護福祉士 / 職場内研修体制 / 研修希望 |
研究実績の概要 |
昨年度は、認知症対応型共同生活介護事業所に勤務する介護福祉士が実践する認知症ケア(自己評価)について、現状を把握した。 今年度は、小規模多機能型居宅介護事業所に勤務する介護福祉士を対象に、認知症ケア実践の現状を自己評価による回答から把握した。 中程度認知症高齢者に実践する認知症ケアとして、先行研究等からアイテムプールした暫定17項目を用い調査したところ、実践頻度が高いと回答された項目は、プライバシー保護、尊厳の保持、安全の保持、等であった。環境変化の忌避、自由の保持、合併症予防、能力に注目、権利侵害排除、主体性尊重、生活の継続性保持、自立支援、自己決定、個別対応、身体的に良好な状態を保つ、といった内容はおおむね実践しているとの回答であった。実践頻度が低いと回答された項目は、希望の再発見、社会的交流、生きる意欲を支える、等であった。認知症対応型共同生活介護事業所に勤務する介護福祉士を対象としたデータと同様に、尊厳を保持したケアが実践されているものの、社会の一員として生活するためのケアについては検討の余地があるという回答であった。 認知症ケア実践を高める要因のひとつと推測される、職場内研修体制の有無(自己評価)との関連を検討したところ、職場内研修体制、階層別研修、少人数・個別新人研修、On The Job Training:OJT、計画的OJTが実施されていると回答した群は、いずれも認知症ケア実践自己評価の合計得点が有意に高いことが観察された。 研修希望について尋ねたところ、「強く希望する」との回答割合が高かった項目は、合併症予防、生きる意欲を支える、社会的交流等であった。研修希望が高い項目は、ケア実践が「あまり実践できていない」と自己評価された内容が多い傾向であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請当初、調査実施を1回として計画していたが、研究の目的をより精緻に達成するため、複数の集団を調査対象とすること、被介護者の認知症の程度も考慮することが必要と考え、計画をより充実させるべく一部修正したため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施したアンケート調査データを用い、認知症ケア実践に関連する要因(職場内研修体制等)について、仮説検証を行っていく。 また、昨年度までは、被介護者の認知症の程度について、中程度認知症高齢者と重度認知症高齢者を併せて分析してきたが、今年度は、中程度認知症高齢者を対象に行う実践と重度認知症高齢者を対象に行う実践の比較や、ケア実践の階層性等について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までの研究成果を公表すべく、学会発表を行うため。 また、すでに投稿している研究論文に加え、さらに進展した研究課題の論文投稿を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を公表するための学会参加費、研究成果を論文投稿するための投稿料、および、調査協力者等に結果を開示するための報告書冊子作成等に使用する。
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