2016年度は、日本と韓国における社会的企業の事例調査を行うとともに、これまでの研究成果を整理し、報告書及び投稿論文の作成を行った。 韓国での事例調査については、農福連携による精神障害者の就労支援を行っている「ヒマン職場(希望の職場)」および、食品製造・販売を行っている社会的企業「トック・プリンス」を訪問し、起業の背景やプロセス、経営状況や課題等についてヒヤリングを行った。また、追加調査として、「ソンミサン・マウル」、「美しい店」、「韓国社会的企業振興院」を訪問し、前回の調査では十分に話を聞くことが出来なかった起業に関連する制度政策の影響や課題等についてヒヤリングを行った。韓国のおける社会的企業に関連する制度政策は初期段階の社会的企業の安定的な経営維持に大きく寄与しているが、課題として経営の継続性や期限付き・一律の支援方法等があげられた。 次に、日本の事例調査については、NPO法人「どりーまぁサービス」および、社会福祉法人「共生シンフォニー」を対象に起業のプロセスや経営状況、地域社会との関係などについてヒヤリングを行った。社会起業を通して制度の狭間のニーズに対応するための事業展開における経営戦略やマーケティング手法等について多くの示唆を得ることが出来た。事例調査の結果については、前年度までの調査結果と合わせて現在分析を行っている。 また、これまでの研究成果のまとめとして、「科学研究助成事業『社会的起業による福祉コミュニティづくりの活性化要因に関する日韓比較』調査研究報告書」を制作している。
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