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2014 年度 実施状況報告書

知的障害者入所施設の閉鎖プロセスと地域生活支援システムの日加比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 26780329
研究機関琉球大学

研究代表者

鈴木 良  琉球大学, 法文学部, 准教授 (90615056)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード知的障害者 / 脱施設化 / 施設閉鎖 / カナダ / 日本 / 地域移行 / ブリティッシュコロンビア / オンタリオ
研究実績の概要

2014年度は本研究の目的である「知的障害者の入所施設閉鎖のプロセス及び地域移行後の地域生活支援システムの現状と課題」のうち、第一に、日本及びカナダを含めた福祉先進国の脱施設化評価研究の実情を明らかにするための文献整理を行った。この結果、脱施設化評価研究において一貫して個人の行動指標が重視されてきたことの背景には、1)生活の質理論、2)専門性や費用対効果の考え方が個人の行動指標を重視してきたことを明らかにした。こうした脱施設化評価研究についての障害学に基づく批判的検討はこれまでの先行研究では存在しなかった。この成果は障害学会機関誌・『障害学研究』第11号において論文(査読付き)の掲載が決定されている。第二に、カナダの脱施設化政策をリードしたカナダ・ブリティッシュコロンビア州の知的障害者入所施設の閉鎖過程を明らかにするため、年間を通した文献研究の他に、2014年9月13~28日にカナダにおける調査研究を行った。これによってブリティッシュコロンビア州の脱施設化過程と施設閉鎖運動に関与した親の会の実態を明らかにできた。これによって親の会が行う施設閉鎖運動の過程で全施設の閉鎖と共にパーソナルアシスタンス/ダイレクトペイメント制度が具体的に提案され実施されたことが明らかになった。この成果は第11回(2014年度)障害学会沖縄大会(11月8日・9日沖縄国際大学)のポスター発表及び第62回(2014年度)日本社会福祉学会秋季大会(早稲田大学 2014年11月29日・30日)の口頭発表において発表した。第三に、日本の北海道における施設閉鎖を実施した先進施設における施設閉鎖過程を明らかにするために、2015年3月22~31日に調査研究を実施した。この結果、日本の施設閉鎖過程には支援費制度や障害者自立支援が一つの契機となっていることなどが分かった。この成果は次年度に発表する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目に予定していた研究実施計画に基づきカナダ及び日本の各調査対象予定施設・機関の関係者ともメールや電話などで当初の予定通りの計画を立てることができ、調査受け入れに際しても積極的に協力して頂くことができたことが今年度の成果につなげることができたと考えている。また、調査実施前からの事前の文献収集も入念に実施したことで、調査もスムーズに行うことができた。今回の研究の遂行過程において、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の脱施設化過程についての研究の重要性を把握し、その結果、フィールドワークでは当初オンタリオ州での調査も予定していたが、その研究を次年度に変更させ、ブリティッシュコロンビア州でのフィールドワークに専念させた。その結果としてブリティッシュコロンビア州の脱施設化過程に関わる詳細な情報を得ることができたこともこのたびの研究の重要な成果となった。

今後の研究の推進方策

2015年度では第一に、カナダ各州の統計データをカナダ・統計局から収集し、カナダ全体の知的障害者入所施設の閉鎖過程について統計的に明らかにしていきたい。全体的な傾向については先行研究では2002年度までの情報までのものであり、近年までのデータも収集しながら論文を作成する予定である。第二に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州だけではなく、オンタリオ州においてもフィールドワークを行い、これらの二つの州を中心に、カナダの知的障害者入所施設の閉鎖過程についてはさらに情報を収集し、明らかにする。とりわけ、閉鎖過程の最後の段階でいかに重度の知的障害者を地域移行させることに成功させたのか、さらには移行後の地域生活支援の場においていかにパーソナルアシスタンス制度が実施されているのかを明らかにする。第三に、日本・北海道における施設閉鎖を実施している先進施設の一つである美深福祉会においてフィールドワークを行い、職員や利用者本人、さらには行政関係者とのインタビュー調査から日本における知的障害者入所施設の閉鎖過程についての詳細を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

前年度中にカナダ統計局からカナダ全域及び州ごとの知的障害者入所施設を含む居住施設に関わるデータを購入する計画であった。しかし、カナダ統計局とのデータ入所手続きに想定していた以上に時間を要したことから次年度に手続きを行うことを決定した。

次年度使用額の使用計画

上記カナダ統計局に知的障害者居住施設に関わるデータ購入のために手続きを速やかに実施し、次年度使用額を執行していく計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 知的障害者の脱施設化/ポスト脱脱施設化評価研究についての批判的検討-生活の質・専門性・費用対効果2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 雑誌名

      障害学研究

      巻: 11 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] カナダ・ブリティッシュコロンビア州における州立知的障害者入所施設の歴史的閉鎖過程2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      日本社会福祉学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2014-11-29 – 2014-11-30
  • [学会発表] 「カナダにおける知的障害者入所施設閉鎖運動の動向」2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木良
    • 学会等名
      障害学会
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      2014-11-08 – 2014-11-09

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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