研究課題/領域番号 |
26780329
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鈴木 良 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90615056)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 知的障害者 / 脱施設化 / 地域移行 / カナダ / 日本 / ブリティッシュコロンビア / オンタリオ / 北海道 |
研究実績の概要 |
第一に、2015年9月1日~10月4日にカナダ・オンタリオ州・ブリティッシュコロンビア州で地域移行の先進事業所でインタビューし、重度知的障害者への個別化給付やブローカリッジという方法が地域移行の支援方法として実施されてきたことを明らかにした。この成果は、2015年4月25日にパーソナルアシスタンス研究会で「カナダにおける知的障害者入所施設の閉鎖運動とパーソナルアシスタンス~ブリティッシュコロンビア州の事例に依拠して」という題名で口頭発表した。さらに、2015年第12回日本グループホーム学会全国大会in京都において「私のウチとしてのホーム」という題名で講演し、季刊誌『障害のある人と援助者でつくるグループホーム』の「私のウチとしてのホーム~日本とカナダの経験から」として掲載された。さらに2016年1月30日の琉球大学法文学部市民講座第12回地域貢献フォーラムにおいて「ノーマライゼーションからインクルージョンへ~障害者福祉の変革の動向」という題名で講演した。 第二に、2015年8月6日から8月17日に北海道の美深福祉会にフィールドワーク調査を行い、施設閉鎖の経緯を明らかにした。2014年度の調査結果と共にこの成果は、2015年8月8日に美深町文化会館COM100で開催された記念講演会「知的障害者の地域移行とパーソナルアシスタンス」として講演をした。さらに、2016年3月21日~4月2日に北海道の白老宏友会などにおいてフィールドワークを実施し、施設閉鎖の経緯に関連して地域生活支援システムにおいては差異が生じることが明らかになった。この成果は次年度に発表する。 第三に、2015年度の文献研究の成果は2015年7月5日に開催された障害学研究会九州沖縄部会の沖縄研究集会において「知的障害者の脱施設化/地域移行政策の成果に関わる評価研究~研究の視座と理論的限界」として口頭発表をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に予定していた研究実施計画に基づきカナダ及び日本の調査施設での関係者とメールや電話を通して予定を立てることができ、さらに、数度の訪問によって調査対象施設の関係者とも信頼関係が形成され、調査の受け入れを積極的に行っていただいている。2015年度においてカナダ統計局からカナダにおける知的障害者の入所施設や地域生活の実際を示す統計的データを入手することができた。ただし、関係者との情報交換の過程で補完的なデータを入手する必要があることがわかり、これを含めたデータの整理と論文の作成は2016年度へと計画を変更した。
|
今後の研究の推進方策 |
2016年度では第一に、カナダ各州の高齢者関連施設に入居する知的障害者のデータをカナダ・統計局から入手し、2015年度に当局から入手したデータと統合させて分析する。これによって、カナダ全体及び各州の知的障害者の入所施設及び地域生活の入居者数のデータを整理する。第二に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州・オンタリオ州・マニトバ州において、カナダの知的障害者の本人活動であるピープルファーストがどのように脱施設化運動を展開させたのかを調査する。第三に、日本・北海道における美深福祉会、札幌このみ会、白老宏友会、愛和福祉会、明和福祉会を訪問し、知的障害者入所施設閉鎖に関わった家族と知的障害者本人にインタビューをする。これらの成果については学会や学会誌において随時発表をする予定である。
|