本年度は、最終年度でもあり、この3年間に東日本大震災の復興支援に関わってきた学生、現在は卒業生を中心に話を聞き、まとめ作業を行った。 今回の研究課題は、二つの大震災で復興支援に関わってきた学生たちがその経験をどのように受容し、社会に寄与できているのか、またその際の課題について探る事であった。その点について、学生ボランティア(東日本大震災)については、フィールドワーク、ワークショップ、インタビューなどから探ることとなった。また、阪神淡路大震災当時の学生たちや復興関係者については、シンポジウム、インタビュー調査、また最後には岩手県釜石市を訪れ、復興支援に関わるNPO関係者との意見交換を行うことによって、若者(学生)たちが復興支援やその後の被災地との関わりや支援の可能性と課題を見出すことができた。 東日本大震災の復興支援活動に関わった学生自身にインタビュー調査を行い、見出されたこととして、「直接的な支援」活動と共に「間接的な支援」活動が新たに拡がっていることが分かった。神戸の学生は、被災地での交流を通して、東北の学生と直接交流を持つ機会も増えたと共に、震災の記憶が風化してきている遠隔地(特に関西地域)においての支援の在り方について考え、それを行動に移す機会となった。また、「伝える」ことが学生ボランティアの重要な役割であると捉えるようになり、被災地の現状や学生自身の活動等をSNSなどを通して自身ができることを積極的に発信するというこれまでになかった活動内容を取り込むように意識が変化してきた。 さらに学生ボランティアのネットワーキングの強化が見られたことは阪神淡路大震災当時と大きな違いであると言える。世代、地域を超えて、オンタイムで情報の交換、発信をしながら、被災地に寄り添い続けていくことができたことは、新しい復興支援の可能性として考えることができるようになった。
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