研究課題/領域番号 |
26780335
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
卯月 由佳 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 主任研究官 (00718984)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 世帯収入 / 社会政策 / 日英比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、子どもの発達・学習に関するアウトカムが、世帯収入によりどのような影響を受けているか分析し、低収入世帯の発達・学習環境を整備するための収入補助、または公共サービスの有効性について検討することを目的としている。さらに、世帯収入の効果は、親の労働収入の効果により説明されるか、親の労働時間の負の効果が世帯収入の効果を相殺するか分析し、低収入世帯の収入増加策として、親の就業参加や賃金上昇が必要か、それとも直接的な収入補助のほうが有効か検討することも課題としている。 平成28年度は、データ分析課題を精緻化する手続きの一環として、上述の政策的な問いに関する理論的な考察を行った。所得保障の手段として現金給付と現物給付があるが、先行研究の整理を通じて次の点が示唆された。現金給付と現物給付のどちらが有効か説明する主要な理論枠組みは、自律性の尊重とパターナリズムの対比により形成される。また、捕捉率の向上、労働供給への効果、有権者からの支持なども検討事項となる。 これらの枠組みを応用し、データ分析の結果を参照しながら、子どものいる世帯への所得保障が子どものアウトカムを向上させる効果をもつには、どのような点に留意して制度設計を行う必要があるか引き続き検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日英比較を行う予定でデータ分析を計画してきたが、比較可能な変数が極めて限られているため分析作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
データ分析の結果と政策インプリケーションについての議論をまとめる予定である。分析可能な変数が想定より限られている点については、先行研究レビューの対象を広げ、既存の知見を利用して政策的な議論を補強することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗がやや遅れており、研究成果発表は次年度に重点的に行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文の英文校閲謝金、研究成果発表を行うための旅費として使用する計画である。
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