本研究は,日英の政策と貧困率の削減状況についてレビューするとともに,世帯収入が子どものアウトカムに与える効果について日本のミクロデータを分析した。2000年代、戦略的な子どもの貧困対策を実施した英国では子どもの貧困率が減少したのに対し,そうした対策を導入していなかった日本では子どもの貧困率が増加した。英国など英語圏と同じように,日本でも持続的・反復的な低収入が中学生の子どもの学習行動や進路希望に対して負の効果を与え得ることが明らかとなった。また、世帯の収入制約とともに時間制約が子どものウェルビーイング(親子で過ごす時間)に負の効果を与え得ることも明らかとなった。
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