研究課題/領域番号 |
26780337
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研究機関 | 社会福祉法人敬友会(高齢者住宅研究所) |
研究代表者 |
竹内 みちる 社会福祉法人敬友会(高齢者住宅研究所), その他部局等, 研究員 (70722510)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 在宅生活継続 / 支援 / ケアマネジャー |
研究実績の概要 |
本研究は、先行研究で明らかとされつつある高齢者の在宅継続の可否と関連する要因を踏まえた上で、高齢者の在宅継続を阻害すると考えられる条件下で、ケアマネジャーが、本人や家族と相互行為の中で関係性を作りあげ、居住継続を可能とするような実践をいかに行っているかというダイナミックなプロセスを明らかにする。 平成26年度は、分野横断的な既存研究の文献検討により、ケアが必要な高齢者の在宅継続の可否と関連すると考えられる要因を以下のように整理した。 (ⅰ)本人の身心状況:年齢、性別、ADL、悪性新生物等などとの関連が示されてきた。また、要介護度が高いほど施設入所者の割合が高くなることが明らかになっているが、ADL障害が高度であるより軽度であることのほうが入院・入所のリスクを高めているという結果を示した研究もあり、認知症の周辺症状との関連が示唆されている。 (ⅱ)世帯・家族状況:要介護者の在宅生活の中断要因に関する研究では、要介護者の在宅生活の継続には本人の心身の障害の程度だけではなく、家族介護者の状況が重要な役割を果たしていることが示されてきた。具体的には、同居家族がいる、家族介護体制が充実している(介護補助者の存在、介護者が1人で外出する時間がとれる、主たる介護者に対する他の家族の理解・協力等)、介護者と要介護者の関係性、家族介護者が健康、虐待に関連する行為がない等である。また、「介護負担感」「介護の価値を『学び』として切り替える対処」等との関連も検討されていた。 (ⅲ)生活支援・介護・医療提供状況:サービス利用については、かかりつけ医、介護サービス利用傾向について検討されている。 (ⅳ)住宅・近隣関係・近隣環境状況:住宅が持家か否か、部屋数、要介護者専用の部屋の有無、住宅の利便性・構造との関連が検討されている。また、近隣の理解と協力について言及している研究がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、分野横断的な既存研究の文献検討により、ケアが必要な高齢者の在宅継続の可否と関連すると考えられる要因を上記のように整理した。また、在宅生活継続は、上記を含む多様な要因が関連しあっており、それらを包括的に把握する必要性が確認された。これらは、平成27年度の事例収集の際のベースとなる事項であり、研究目的の達成度としては「(2)おおむね順調に進展している」が妥当であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、高齢者の在宅継続を阻害すると考えられる条件下での先駆的在宅継続支援実践の事例収集と結果の整理・分析に力点を置く。具体的には、平成26年度(1年目)で明らかになった高齢者の在宅継続を阻害すると考えられる条件が生じた担当ケースで、ケアマネジャーは、いかなる在宅継続支援実践を行ったかについてインタビュー調査を行う(大都市圏における要支援・要介護高齢者の事例を収集する)。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した分野横断的な既存研究の文献検討のうち、研究協力者から介護サービス利用について文献検討上の助言を受けるための遠方の交通費等を予定していたが、本テーマと関連する介護保険制度成立後の介護サービス利用については既存の研究がまだ少なく、今年度文献検討上の助言を得るよりも、実際のケアマネジャーへの調査の際、助言を受けることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、実際のケアマネジャーへの調査の際、研究協力者から助言を受けることとし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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