研究課題/領域番号 |
26780340
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 育子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任講師 (10509821)
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研究期間 (年度) |
2015-03-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会参加 / 主観的well-being / コミュニティ感覚 / ソーシャル・サポート・ネットワーク / 近隣関係 |
研究実績の概要 |
(1)一般地域住民を対象とした既存データの二次分析を行い、地域活動と近隣者との社会関係、居住地域に対する態度、およびwell-beingの関連を共分散構造分析により検討した。年齢群により異なるモデルが成り立つ可能性を、国際心理学会で口頭発表した。口頭発表後、学会で議論したドイツで類似研究を行っている研究者との意見交換を行い、国際比較の研究レビューを進めた。 (2)首都圏近郊の住宅地をフィールドにして、地域活動への参加者、非参加者を含む一般住民を対象としたアンケート調査を実施しデータ分析を行った。既存データでは測定されていなかった物理的環境を含む地域社会への評価や、社会参加に関連した価値観など、(1)の二次分析で用いた既存データには含まれていなかった項目が加わったことで、(1)で残された課題に取り組んだ。分析の結果を平成29年度開催の国際老年学会に投稿し受理された。 (3)(2)と同じ地域で、現在地域活動に関わっている一般成人を対象としたインデプスインタビューを実施し、現在9名の男女へのインタビューを終了した。社会活動に関わったきっかけ、居住地域への意識の自覚的な変化、近隣住民との関わりの変化、現在の活動状況、今後の関与に対する希望、を回顧的に収集した。平成29年度は若年層のインタビュー対象者をさらに増やして、現在収集が済んでいる高齢層のインタビューと比較することを計画している。 (4)首都圏近郊の住宅地にて自治会、地区社会福祉協議会とともに、新規の地域活動を立ち上げる活動に携わり、今後新たに地域活動に参加する人のリクルートを開始した。新規活動参加者の参加前後の追跡データ収集を行うための準備を行った。平成29年度はこの活動に新規に関わる新規活動参加者を対象に、データ収集を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
量的アンケート及び質的インタビュー調査の実施については概ね予定通りであるが、質的インタビュー調査で若年層の対象者へのコンタクトにやや遅れがあり、平成29年度も引き続き行う計画である。 また、当初予定では、年度内に地域活動に新規参加する成人を対象とした追跡調査を開始する予定であったが、地域住民とともに活動の立ち上げを丁寧に行ったため、年度内にデータ収集をはじめるには至らなかった。新規参加者を募集する段階まで準備が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の前半までインタビュー調査を継続し、特に若年層、中年層のインタビューデータを追加する予定である。 同時に、今年度の前半に地域活動への新規参加者を対象に追跡調査を開始し、半年追跡する計画である。社会関係および地域に対する意識が活動への参加を通していかに変化するかを明らかにする。 また、昨年度実施したアンケートおよびインタビューの分析をさらに進め、論文を執筆するとともに、国内の心理学系および老年学系の学会に投稿、発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(1)現在地域活動に関わっている一般成人を対象としたインデプスインタビューを9ケース実施したが、予定していた若年対象者へのインタビューが未実施であること、分析にかかる費用が未使用であること。(2)新規活動参加者を対象とした追跡調査が準備段階であり、データの収集や分析にかかる費用が未使用であること。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)現在地域活動に関わっている一般成人を5ケース追加実施するとともに、インタビューのテープ起こしや分析にかかる費用を使用する計画である。(2)新規活動参加者を対象とした追跡調査を参加前、参加2ヶ月後、参加6ヶ月後の3回にわたり実施する予定であり、その実施にかかる費用および分析にかかる費用を使用する予定である。(3)昨年度発表登録をした学会への参加にかかる費用として旅費の使用を予定している。
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