ヒトは将来起こり得る出来事を想像できる。またヒトの一生にいずれ終わりが訪れることも認識可能である。この研究では機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、将来の死を考えることが将来の金銭報酬の意思決定に及ぼす影響を検討した。異時点間選択課題において、参加者は死を想像したときに遅延報酬の主観的価値を低めることが示された。この傾向は死を報酬選択に関連づけている者で顕著であった。これらの参加者は死を想像し、遅延報酬を選択する際に、扁桃体や背側前部帯状回の活動が高いことが示された。これらは将来の報酬選択と死の不可避性の気づきにより生じた情動的葛藤が時間割引を促進させることを示唆する。
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