本研究は、個人主義の社会的機能を明らかにすることを目的として実施された。漁業者と非漁業者を比較した研究1aは、漁業者において特に個人主義と協力行動が正の相関を示しやすいことを明らかにした。研究1bは、民主主義的な集団と上下関係の厳しい集団を比較し、前者で特に個人主義と情報共有行動が正の相関を示しやすいことを明らかにした。これらの知見は、協力行動が不確実性対策としての側面を持つ時、個人主義が必要とされることを示唆している。研究2は住居流動性と協力行動の関係を分析し、ここでも「個人の判断」がコミュニティ内の協力を支える役割を担っていることが示された。
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