• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

外集団に対する先制攻撃の心理基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26780344
研究機関高知工科大学

研究代表者

三船 恒裕  高知工科大学, 経営学部, 講師 (00708050)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード外集団攻撃 / 先制攻撃 / 最小条件集団 / 集団間葛藤
研究実績の概要

本申請研究では、先制攻撃ゲームを用い、外集団への攻撃行動の生起メカニズムを明らかにすることを目的としている。平成26年度は二つの実験を実施した。ひとつは複数人対複数人で先制攻撃ゲームを実施する実験である。この実験では四つの個室を用い、1人対1人、1人対3人、3人対3人でお互いに先制攻撃を行うか否かを決定した。実験の結果、3人対3人でも1人対1人と同程度の攻撃率が観察された。1人が3人と対戦する時も同程度の攻撃率であったが、3人が1人と対戦する時は他の三条件と比較して2倍近い攻撃率が観察された。3人が1人と対戦した時の攻撃率の上昇は、相手の攻撃力の大きさ(自分たちに比べて三倍の攻撃の効果)が自身の攻撃を高める可能性があることを示している。これらの結果を踏まえて26年度はさらに最小条件集団を用いた実験も実施した。この最小条件集団実験の目的は二つである。ひとつは、申請者が過去に実施した最小条件集団実験の結果が再現されるかを確かめること、もうひとつは相手の攻撃率が大きいことが外集団への攻撃を高める可能性を検討することである。1対1で、最小条件集団における内集団あるいは外集団を相手とし、自分と相手で攻撃の効率が同じゲームと効率が異なるゲームを実施した。結果、攻撃の効率が同じ場合は内集団相手と外集団相手で攻撃率に差が見られず、先行研究の結果を再現した。さらに、相手の攻撃の効果が自分よりも大きい場合は内集団相手よりも外集団相手に対してより多く攻撃する傾向が見られたのに対して、自分の攻撃の効果が相手よりも大きい場合は外集団よりも内集団に対して多く攻撃する傾向が見られている。さらに、平成26年度は外集団攻撃が生起する要因として「脅威」に着目し、外集団との争い場面をプライミングすることが集団間行動に影響することを示す実験も実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請書の計画では、平成26年度は複数人対複数人の先制攻撃ゲームと最小条件集団を用いた先制攻撃ゲームを実施することとなっている。前者は約400人の学生を対象とした実験を実施したことで、達成された。この実験結果は現在、英語論文としてまとめられつつある。後者もまた約100人を対象として実施されている。後者の実験ではまだデータ数が足りないため実験終了とは言えず、今後も継続して実験を実施する必要がある。しかし、攻撃の効率の効果の違いという、複数人対複数人の実験から新たに可能性が示された外集団攻撃を高める要因も含んでおり、これは平成27年度の計画を先取りして実施していると言える。また、外集団との争いの状況をプライミングするという、外集団攻撃を誘発する新たな要因の効果を実験的に示すための準備実験も開始しており、本申請研究は当初の計画以上に進展しているものと考えられる。

今後の研究の推進方策

複数人対複数人の先制攻撃ゲーム実験の結果は、現在、国際誌に投稿するよう論文を執筆しており、平成27年度中に投稿する予定である。平成26年度に実施した最小条件集団を用いた実験はまだ100人程度しかデータが集まっておらず、これは予定よりも少ないものである。従って、予定の参加者数を満たすまで継続して実験を実施する。予定人数に達し次第、結果を統計的に分析し、論文にまとめ始める予定である。また、外集団脅威のプライミング実験に関しても結果を分析し、先制攻撃ゲームへの適用可能性を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

最小条件集団実験の参加者数は今年度中でおおよそ150人程度を予定していたが、予測よりも参加者が集まらず、100人程度の実施にとどまった。従って、参加者に支払う謝金分を平成27年度に使用することにした。

次年度使用額の使用計画

平成26年度より継続して行う最小条件集団実験の実験参加謝金にあてる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Shame-prone people are more likely to punish themselves: A test of the reputation-maintenance explanation for self-punishment.2015

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, H., Yagi, A., Komiya, A., Mifune, N., & Ohtsubo, Y.
    • 雑誌名

      Evolutionary Behavioral Sciences

      巻: 9 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1037/ebs0000016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An individual difference in betrayal aversion: Prosociality predicts more risky choice in social but not natural domains.2015

    • 著者名/発表者名
      Komiya, A., & Mifune N.
    • 雑誌名

      Letters on Evolutionary Behavioral Science

      巻: 6 ページ: 5-8

    • DOI

      10.5178/lebs.2015.33.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Oxytocin receptor gene (OXTR) polymorphism and self-punishment after an unintentional transgression2014

    • 著者名/発表者名
      Ohtsubo, Y., Matsunaga, M., Komiya, A., Tanaka, H., Mifune, N., & Yagi, A.
    • 雑誌名

      Personality and Individual Differences

      巻: 69 ページ: 182-186

    • DOI

      10.1016/j.paid.2014.05.033

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of cognitive impairment with magnetic resonance imaging findings and social activities in patients with multiple sclerosis.2014

    • 著者名/発表者名
      Niino, M., Mifune, N., Kohriyama, T., Mori, M., Ohashi, T., Kawachi, I., Shimizu, Y., Fukaura, H., Nakashima, I., Kusunoki, S., Miyamoto, K., Yoshida, K., Kanda, T., Nomura, K., Yamamura, T., Yoshii, F., Kira, J., Nakane, S., Yokoyama, K., Matsui, M., Miyazaki, Y., & Kikuchi, S.
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Neuroimmunology

      巻: 5 ページ: 328-335

    • DOI

      10.1111/cen3.12133

    • 査読あり
  • [雑誌論文] To be perceived as altruistic: Strategic considerations that support fair behavior in the dictator game.2014

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto, H., Mifune, N., & Yamagishi, T.
    • 雑誌名

      Letters on Evolutionary Behavioral Science

      巻: 5 ページ: 17-20

    • DOI

      10.5178/lebs.2014.31.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 個人間・集団間における先制攻撃2014

    • 著者名/発表者名
      三船恒裕・肥前洋一・上條良夫・岡野芳隆
    • 学会等名
      日本社会心理学会第55回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-07-26 – 2014-07-26

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi