まず本年度では、熟達者3名による協同活動場面の検討(研究1)と表現活動の指標に関する更なる検討(研究2)、の2点を実施した。そして、昨年度までに実施済みの研究で得られた知見と併せることで、即興的な芸術表現活動において他者との間でどのような相互作用・学習過程が生じるのか、その現象やその現象を捉えるための観点について総合的な考察を行った。 まず1については、平成27年度の計画を継続し、データの追加と分析を行い、関連する知見を学会・研究会で発表している。特にこの研究に関しては、現象を捉えるための観点・装置が必要とされるため、データの追加・分析と並行して上記の点についても検討し、データ測定のための有用な観点を抽出することが出来た。結果として、3名による協同活動場面に加え、4名以上の複数名による協同活動場面にも適用可能と考えられる手法・知見を得ることが出来た。 次に2については、研究1のデータ測定と縦断的なフィールドワークを実施する中で、表現活動の概要と表現活動の中で生じる相互作用を捉えるための指標・観点を抽出した。これらはパフォーマンスの記録映像やモーションキャプチャーシステムによる身体運動データ等を用いて、表現活動の傾向や相互作用の詳細を抽出する手法であり、国内の関連学会・研究会において発表を行った。 最後に上記の知見と昨年度までに実施した研究の知見(熟達者2名による協同活動場面、熟達者と初心者による協同活動場面)とを併せ、即興的な芸術表現活動において他者との間で生じる相互作用・学習過程について体系的な整理・検討を行った。
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