18トリソミーは、ダウン症候群(21トリソミー)に次ぐ、発生頻度の高い染色体異常である。本研究では、18トリソミー児(1名)の発達過程について、4年にわたる縦断的追跡調査により得られたデータの解析を行っている。平成26年度は、データベースの構築に主眼を置いた。対象児の発達に関する記述データ(4年分)のテキストファイル化を行い(平成26年度中に完遂)、発達指標ごとの分類を進めている(平成27年度も継続)。同時に、対象児が就学に至るまでの経過について、画像データの分析を行い、一般の方々・医療従事者・教育関係者に向けた研究成果公表用の冊子体の制作・編集を続けてきた。先行研究では、当該疾患について1歳時の生存率が約一割などと報告されており、その発達過程や必要な教育的支援に関する知見は乏しいのが現状である。画像データ(写真)を時系列に整理し、出生から就学に至るまでの成長や、対象児の生活の様子、発達の過程を示すことで、18トリソミーの子どもが発達可能性を有する人間存在であることについて、保護者・医療従事者・教育関係者などに新たな認識を涵養することが期待される。冊子については、平成27年度前半には完成すべく作業を続けており、その成果を踏まえ、同年度の後半には学会(日本特殊教育学会)における発表を予定している。出生前診断に関わる議論が厳しさを増す状況において、18トリソミー児を発達可能性を有する教育の対象と示しうる点が本研究の意義であり、現代における重要性である。
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