子どもは,他者の意図を過剰に好意的に判断する楽観性バイアスを持っている。意図判断における楽観性バイアスの社会性における役割を明らかにするため,年少・年中時の楽観性バイアスの高さが1年後の社会的スキルに及ぼす影響を,縦断的に検討した。その結果,やりとりしている相手が「邪魔したい」という欲求を明示的に持って行動していることに対し,それでも「邪魔しようとはしていない」と意図を判断する傾向が強い子どもは,1年後の攻撃行動の程度が低くなることが明らかになった。これらのことから,子どもの意図判断における楽観性バイアスは,社会的スキルの発達,特に攻撃性の低減に重要であることが示された。
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