研究課題/領域番号 |
26780374
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研究機関 | 大阪成蹊短期大学 |
研究代表者 |
渋谷 郁子 大阪成蹊短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (80616938)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 道具操作 / 方略理解 / 運動パフォーマンス / 不器用さ / 就学期 |
研究実績の概要 |
本研究は、道具操作の方略に関する幼児・児童の理解とその発達過程を明らかにし、実際の運動パフォーマンスとの関連を解析することで、道具操作の効果的な支援・指導法を開発するための研究基盤を確立するものである。平成26年度は、申請書の計画に基づき、ハサミの操作を実験課題として、以下の2点について調査を実施した。調査対象は、幼児から小学校1年生までの140名であった。 (1)道具操作の方略の一つである「運動の速さと正確さのトレードオフの関係(速く行えば仕上がりが雑になり、ゆっくり行えば仕上がりがきれいになるといった法則性; Schmidt & Lee, 2011)」についての子どもの理解を、ハサミ操作を題材としたストーリーを用いて調べた。 (2)「運動の速さと正確さの関係」についての理解の程度と、子どもが実際にハサミを操作するときの運動の速さ・正確さとの関連を調べた。直径9cmの円図形を切り始めてから切り終わるまでの所要時間を計測し、運動の速さの指標とした。また、直径9cmの円図形を1cm間隔に区切り、各区間で1mm以上はみ出した切り口の長さの総和を算出して、運動の正確さの指標とした。 (1)の結果より、全体の約50%を占める76名の子どもが「運動の速さと正確さの関係」を完全に理解していることがわかった。また、(2)の結果より、「運動の速さと正確さの関係」の理解度が高い群の方が、低い群よりも有意傾向で運動が正確であることが示唆された。一方で、運動の速さには2群間に有意な違いは認められなかった。以上のことから、「運動の速さと正確さの関係」に関する理解が、ハサミ操作の正確さに影響を及ぼす一因であるとの結論を導いた。したがって、運動パフォーマンスの正確さを高める上では、「運動の速さと正確さの関係」についての理解を促進するはたらきかけが効果的である、という可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年長児から小学校1年生までの就学期の子どもたち140名のデータ収集を終え、道具操作の効果的な支援・指導法の開発に資する興味深い結果を得ることができた。現在は平成27年度の研究テーマに沿って、データ収集に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は申請書の計画に従い、ハサミ操作に特化した具体的な方略についての子どもの理解を調べ、実際の運動パフォーマンスとの関連を解析する予定である。具体的には、非利き手の動かし方や両手の協調の仕方、身体を支持する点の多寡などについて尋ねることにしている。
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