研究課題/領域番号 |
26780375
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
小西 瑞穂 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生体防御系内科部, (非)研究員 (90378448)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抑うつ / 早期介入 / 予防プログラム / 家族心理教育 |
研究実績の概要 |
わが国の12-14歳のうつ病の時点有病率は4.9%、生涯有病率は8.8%である(佐藤ら,2008)。また、治療を受けていない場合、子どものうつ病は2年間で40%、5年間で70%が再発し(Rao, et al., 1995)、成人後にうつ病に罹患するリスクが高い(Kovacs, 1996)ことが知られている。 子どもの抑うつに対する学校場面を利用した早期介入が国内外で広く行われている。Spence & Shortt(2007)や倉掛・山崎(2006)、小関ら(2007)、佐藤ら(2009)は認知行動療法を中心とした介入を行い、抑うつ症状が低減することを報告している。予防的・成長促進的な観点から学級に在籍する全ての児童生徒に対する取り組みが行われている。 そこで本研究では、学校場面において中学高校の生徒を対象とした抑うつの早期介入プログラムの開発を行い、精神障害発症の予防的介入を行う。生徒および保護者への心理教育・認知行動療法の心理学的手法を用いて、症状への理解や対処能力の向上、精神的健康の改善を図る。 平成26年度には、身体疾患のある乳幼児の保護者に家族心理教育プログラムを行い、保護者への家族心理教育プログラムの有効性と長期的効果を確認した。この成果は、日本健康心理学会研究・実践活動奨励賞、牛乳食育研究会平成26年度食と教育学術研究優秀賞、日本健康心理学会優秀発表賞を受賞した。 平成27-28年度には、子どもの疾患への理解を深め、対処能力を向上させることを目的に、保護者と子どもそれぞれを対象とした冊子を作成した。冊子には前年度実施し、有効性が確認された家族心理教育プログラムの教育的介入部分を反映させ、症状への理解や対処の仕方についてわかりやすく記述した。冊子の作成によって、有効性が確認された家族心理教育プログラムの情報提供をより多くの対象者に配布することを可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度には家族心理教育プログラムの有効性と長期的効果を確認した。プログラムの性質上、限られた対象者となり、有効なプログラムを多くの対象者に普及させることには障壁があった。そこで、有効性が確認された家族心理教育プログラムの教育的介入部分の情報提供をまとめた冊子を保護者と子どもそれぞれを対象として作成し、より多くの対象者に効率的に教育的予防介入を実施することを可能にした。
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今後の研究の推進方策 |
精神疾患罹患へのリスクを持つ人の罹患リスクを低減させるためには、ハイリスク者本人へのアプローチと同時にその人を取り巻く周囲の人々の理解と支援が有効である。そこで、本研究では平成27-28年度に作成した問題を持つ本人と保護者向けの冊子を元に、周囲の人(子どもと保護者)を対象とした情報提供用冊子の作成を行う予定である。子ども用と保護者用の両方を作成し、抑うつ予防の早期発見ならびに早期介入を目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠衆参育児により、当該年度に予定していた研究補助者を雇えず、人件費がかからなかった。また、論文投稿ならびに成果発表を来年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度繰り越した助成金は今後作成する冊子やそれに必要な研究補助者の人件費および消耗品、成果物の作成、成果発表等に活用する計画である。
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