研究実績の概要 |
わが国の12-14歳のうつ病の時点有病率は4.9%、生涯有病率は8.8%であり(佐藤ら,2008)、未治療の場合、子どものうつ病は2年間で40%、5年間で 70%が再発する(Rao,et al., 1995)ことが知られている。また、成人後にうつ病に罹患するリスクが高いことも指摘されている(Kovacs, 1996)。 学校場面を利用した子どもの抑うつに対する早期介入が国内外で広く行われており、予防的・成長促進的な観点から学級全体を対象とした児童生徒に対する取り組みが行われている。Spence&Shortt(2007)、倉掛・山崎 (2006)小関ら(2007)、佐藤ら(2009)は認知行動療法を中心とした介入を行い、抑うつ症状の低減を報告している。そこで本研究では、中学高校の生徒を対象とした学級単位での抑うつの早期介入プログラムの開発を行い、精神障害発症の予防的介入を行う。生徒および保護 者への心理教育・認知行動療法の心理学的手法を用いて、症状への理解や対処能力の向上、精神的健康の改善を図る。 平成26年度には、身体疾患のある乳幼児の保護者に家族心理教育プログラムを行い、その有効性と長期的効果を確認した。この成果は、日本健康心理学会研 究・実績活動奨励賞、牛乳食育研究会平成26年度食と教育学術研究優秀賞、日本健康心理学会優秀発表賞を受賞した。 平成27-28年度には、前年度実施し、有効性が確認された家族心理教育プログラムの教育的介入部分を反映させ、保護者と子どもそれぞれを対象とした冊子を 作成し、より多くの対象者に配布することを可能にした。 平成29年度には、社会全体の子どもの疾患への理解を普及させることを目的に、保護者用と子ども用の冊子を作成した。疾患を理解し、社会のスティグマを取り除くことを目的とした。 平成30年度には子どもの疾患に関する理解度の調査を行った。
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