研究課題
平成27年度では,親の社会的勢力を踏まえて,親子間のソーシャルサポート(以下:SS)の互恵性が独立性,抑うつ感に及ぼす影響について大学生を対象に検討した。その結果,SS互恵状態でも大学生が親の勢力を参照―専門勢力として認知している方が,賞-罰勢力として認知している場合よりも独立性が高いことが示された。また参照-専門勢力の親を持つ大学生の方は,賞-罰勢力の親を持つ大学生より抑うつ感が低かった。このことから,大学生が親の参照-専門勢力を認知し,内発的な動機に基づくサポート関係が大学生の独立性や抑うつ感に影響を及ぼしていることが示唆された。また,親子間のSSの互恵性について健常群の青年と気分障害などの診断を受けている臨床群の青年との比較を検討した。その結果,臨床群は,健常群と比較して,父親から青年へのSSが有意に少なく,青年から母親へのSSが有意に多いことが示された。さらに,χ二乗検定の結果,健常群では,親から受け取ったSSが青年から親へ提供したSSよりも多い状態を示す過剰利得によって精神的健康度を高めている可能性が示された。一方,臨床群においては,青年から親へ提供したSSが親から受け取ったSSよりも多い状態を示す過小利得よって抑うつ感が維持される可能性が推察された。
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International Journal of Brief Therapy and Family Science
巻: Vol. 5, No.2. ページ: in press.