本研究は,外傷性ストレス体験者の否定的・肯定的な認知と活動に着目した心理的介入の効果について明らかにすることを目的とした。文献レビューに基づいて介入プログラムを作成し,外傷性ストレスを体験し,現在もPTSD症状を高く示している対象者に対して本プログラムを実施した。その結果,介入後にPTSD症状に対する否定的認知が低減し,レジリエンスが向上するなどプログラムの妥当性が示された。さらに,外傷性ストレス体験者のPTSD症状の改善に効果的であることが示され,抑うつ症状に対しても一定の効果が認められた。以上のことから,外傷性ストレス体験者の否定的・肯定的な認知と活動に着目した介入の有効性が示唆された。
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