研究課題/領域番号 |
26780381
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
廣澤 愛子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (10345936)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 解離的対処行動尺度 / 忘却・消去 / 空想的逃避 / 自己の切り離し |
研究実績の概要 |
本年度は、解離を「非病理的解離」という病理性のない解離に限定するのではなく、ストレスの生じる出来事に対しての「解離的な対処行動」という視点から捉え直し、解離を病理的~非病理的に渡る概念と考えて研究を行った。防衛機制としての解離は本来無意識的な心的機制であり、一方の対処行動は意識的行為であり、そこに矛盾が生じるが、近年、ネガティブな出来事を意識的に消去・忘却するような「解離的な対処行動」が増えていることが指摘されている(岩宮,2009)。そこで、本来の解離の定義と、近年増えつつある解離的な捉え方の双方を踏まえて「解離的対処行動」という構成概念を想定し、尺度を作成した。 予備調査と文献研究を踏まえて、嫌なことを「消去・忘却する」、嫌なことから「空想的に逃避する」、嫌なことから「自己を切り離す」の3つの下位尺度を想定し、455人の大学生を対象に調査を行った。因子分析の結果、上記の3つの下位尺度ごとにまとまることが確認され、「消去・忘却」5項目(α=.83)、「空想的逃避」5項目(α=.80)、「自己の切り離し」4項目(α=.81)という14項目からなる解離的対処行動尺度が作成された。また、包括的解離尺度短縮版との相関から病的解離との弁別的妥当性,改訂版日常的解離尺度及びストレスコーピング尺度との相関から併存的妥当性が確認された. 今後は、ASD傾向や共感性や内省性などを測定する尺度との相関を確認し、解離的対処行動の特性をより詳しく明らかにするとともに、いじめ悪質化など集団における対人関係上の問題に、解離的対処行動がどのように関連しているかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作成している尺度の再検査による信頼性の検討を終えていないから。
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今後の研究の推進方策 |
解離的対処行動尺度の再検査による信頼性の検討を行い、その後、速やかに論文としてまとめる。論文をまとめる際には、、いじめなどの集団における問題と解離的対処行動との関係性、発達障害との関連性にも注目して論文をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していた学会発表をキャンセルしたため
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度できなかった分も含めて、今年度、研究成果の報告(学会発表)を精力的に行う。
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