本研究では、日常場面で用いられる解離に焦点を当て以下の2点を行った。1)文献研究を通して、日常的解離と病的解離の相違について、自我の関与の程度がその違いを生むことを明らかにした。2)自我の関与がある程度認められる解離を「解離的対処行動」と定義し、尺度を作成した。さらに、他の性格特性との関連を明らかにした。その結果、3因子からなる尺度が作成され、信頼性・妥当性が確認された。また、解離的対処行動は精神的健康度の高いスキルである一方、非共感性・非内省性と関連が見られ、「本人は良いが、周囲は困る」状況を引き起こすことが示唆された。今後の課題は、解離的対処行動が集団に及ぼす影響を明らかにすることである。
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