研究課題/領域番号 |
26780385
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
深瀬 裕子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80632819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 投映法 / 高齢者 / 心理的自律性 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,次のとおり研究を進めた。①高齢者を対象とした縦断研究の倫理申請:「加齢による身体・社会・心理的変化が精神的健康に与える影響」という課題名で,北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会に申請し,承認を得た。②研究協力者である高齢者の募集:高齢者関連の機関に協力をあおぎ,研究協力者として60名程度を確保した。③高齢者を対象とした縦断研究の第1回調査の実施:②で募集した研究協力者を対象に,「加齢による身体・社会・心理的変化が精神的健康に与える影響」という研究課題の第1回調査を実施した。④主な結果:本研究の独自性の一つである高齢者の心理状態をTAT(主題統覚検査)で測定することについて,次の示唆が得られた。図版3BMに,身体的苦痛のみを物語る対象者は,悩みや悲哀を含めて物語る対象者よりも不安・心理的動揺・情緒不安定性が高いことが示された。図版3BMの画中の人物から何らかの悲嘆や苦悩を感じ取らないこと,あるいはそれらを述べないことは,感情の統制の過剰傾向や感情生活の貧困化が示唆されており,本研究の結果もこれを支持するものと考えられる。しかしその他の指標では,天井効果が認められたり,群間での有意差が認められなかった。本研究は同一の被験者に対しての5年間の縦断研究を予定しており,引き続き検討を行う必要がある。⑤成果発表:本研究および前年に実施した横断研究で得られた成果を,国内外の学術論文および学会発表で発表した。⑥対照群となる大学生を対象とした縦断研究の倫理申請:高齢者を対象にした調査で得られた測定値と比較するため,同様の調査を大学生対象で実施するため,「大学生の身体・社会・心理的変化が精神的健康に与える影響」という課題名で,北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会に申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,高齢者を対象とした研究のみを実施する予定だったが,第1回の調査で得られた測定値が,成人を対象とした先行研究で指摘されている心理メカニズムと類似しており,本研究で得られた成果が高齢者に特有のものか,あるいは年齢によらない一般的なものかを判断する必要が生じた。そのため,大学生を対象とした調査を追加したため,最終的な成果のまとめは遅延が予測されるが,研究の妥当性は高まると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,以下のように研究を進める予定である。 ①対照群となる大学生を対象とした縦断研究の倫理申請の承認を得る。 ②大学生を対象とした縦断研究の第1回調査を実施する。 ③高齢者を対象とした縦断研究の第2回調査を実施する。 ④国内外の学術雑誌および学会発表で成果を報告する。 ⑤本科研は28年度が最終年度であるため,2つの調査にかかる資金の確保として,あらたに科研費の申請を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に,予定していなかった調査(大学生を対象)を行うため,その謝金等にあてるために資金を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
①大学生対象の調査における研究対象者および研究補助者への謝金,②高齢者対象の調査における研究対象者および研究補助者への謝金,③3件の国内学会を予定しており,その旅費,④海外論文投稿にかかわる費用
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