研究課題
本研究は,口腔乾燥の明確な原因がみられない心因と診断されるドライマウス患者の中で認知行動療法によって改善が期待できる患者をスクリーニングする方法の確立を目指すとともに,当該患者に対する介入方法の確立を目指すものである。本年度は,ドライマウス患者の口腔関連QOLとの関連が示されている脅威性,影響性,コミットメントに焦点を当てた治療法の開発を行った。これまでの研究から想定される症状のメカニズムとしては,脅威性・影響性については,ドライマウスに関連する状況を生活を脅かし影響が大きいと解釈し,関連する活動を避けることによってQOLの低下につながっていると考えられる。また,コミットメントが高いという状態は,口腔の乾燥を解決するということに固執するあまり,口腔乾燥を低減するという手段以外で自分の状況を改善する選択肢を取れなくなっており,結果的にQOLが低下していると考えられる。こうしたメカニズムに基づき,認知行動療法プログラムの開発を行った。プログラムは,QOLの重要性を強調し重大な疾患の可能性を検討するための心理教育,リラクセーション,機能障害に関連する回避行動の改善を目指した脅威性および影響性への認知的再体制化から構成されていた。このプログラムの有効性について,事例検討によって検討した結果,患者には当初,社会的場面へ関わる行動に対するネガティブな認知的評価が認められたが,介入によってこうした評価が肯定的に変化し,社会的場面への関わりも増加するという結果が得られ,プログラムの有効性が示唆された。
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歯科心身医学会雑誌
巻: 31 ページ: 印刷中