研究実績の概要 |
経絡テストによって測定される経絡経穴系の状態と心理的・生理的ストレス反応との関連性を明らかにするために、フィールド調査を行うとともに、過去の介入研究(Horiuchi et al., 2015)の再解析を行い、経絡経穴系の変化と心理的ストレス反応の変化の関連を検討した。以上を通じて、頚部および腰部を指圧する新しい指圧メニューの作成を行うための基礎資料を得ることを意図した。鍼灸医学を学ぶ専門学校生75名を対象として、頚部および腰部の経絡テスト、心理的ストレス反応、および起床時コルチゾール反応(生理学的ストレス反応)を測定した。自覚ストレスの強さは頚部の経絡経穴系の不良さのみと関連すること(n=75)、起床時コルチゾール反応の大きさは腰部の経絡経穴系の不良さのみと関連する(n=56)ことが明らかになった。主観的ストレス反応と生理的ストレス反応で関連する部位が異なることが示された。また、過去の介入研究(Horiuchi et al., 2015)を再解析することによって、頚部の経絡経穴系の変化と心理的ストレス反応の変化の関連を検討した(n=54)。頚部の経絡経穴系の状態が悪化した人は、そうでない人と比較して、心理的ストレス反応が大きく増加していた。これらの結果から、頚部と腰部を指圧することで、それぞれ心理的ストレス反応、生理的ストレス反応を緩和する可能性が示唆された。研究開始当初は、心理的ストレス反応と生理的ストレス反応が同じように頚部と腰部の経絡経穴系の状態と関連するものと予想していた。頚部と腰部の経絡経穴系はそれぞれストレスの異なる側面に関連していることから、ターゲットとする側面を再度検討するとともに、それにあわせたプログラム開発が必要である考えられる。
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