研究課題/領域番号 |
26780396
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中川 敦夫 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30338149)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | うつ病 / 治療抵抗性 / 認知行動療法 / 気質 / T&P日本語版 / 受療遅延 |
研究実績の概要 |
【1-認知行動療法への治療抵抗性に関連する心理・社会学的要素の検討】 どのような心理・社会学的要素や特性を持つうつ病患者が治療抵抗性を示すのかを明らかにするための1つとして、今年度はうつ病未治療期間(Duration of untreated illness; DUI)に注目した。95例のうつ病外来通院患者を受療遅延長期群(長期DUI群)および受療遅延短期群(短期DUI群)に分け検討し、長期DUIは、婚姻歴(未婚)とDSM-Ⅳのメランコリーとの関連が示された。本結果は、未婚は治療抵抗性の予測因子になることが示唆され、この本邦初の報告は、International journal of mental health systems誌に公表された。 【2-認知行動療法の長期転帰:1年間追跡調査の開始】 認知行動療法を終了後の再発の有無を含む長期転帰を研究するため、39名の認知行動療法終了後12ヶ月評価データの収集を終え、解析を行っている。 【3-うつ病の気質に関する自記式評価尺度の開発ならびに信頼性・妥当性の検証】 Gordon Parker教授が開発したTemperament and Personality Questionnaire (T&P)の日本語版を開発し、114例のうつ病患者を対象に信頼性・妥当性の検証を行った。その結果、T&P日本語版のtest-retest reliability, concurrent validityが示され、その成果をアメリカ精神医学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知行動療法への治療抵抗性に関連する心理・社会学的要素の検討に関しては、データ収集が終わり、今年度はDuration of untreated illnessに注目し、その成果を論文発表した。うつ病の気質に関する自記式評価尺度の開発ならびに信頼性・妥当性の検証に関しては、データ収集を終え、解析結果は国際学会にて発表し、現在論文執筆中である。認知行動療法の長期転帰に関しては39名の追跡が終わり、データ解析を開始したところである。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究計画は順調に進展している。このため、交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に照らし今後も進めていきたい。
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