本研究では,特性怒りの高い大学生を対象に,2種の対人関係(怒り対象焦点型,受容他者焦点型)に焦点化した異なるタイプのロールレタリング(以下RL)による怒りの変容効果の違いを,即時的及び長期的観点から比較・検討を行い,大学生の怒りの変容に最適なRLを開発することを目的とした。その結果,双方のRL群は共に,特性怒りや怒りの自己陳述の低減に効果を発揮したが,概して,その変化の程度は,受容他者焦点型RL群よりも,怒り対象焦点型RL群の方が大きかった。また,どちらか一方の対人関係に焦点化したRLを継続的に行うことが,より大きな怒りの変容効果を得るためには重要であることが示唆された。
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