研究実績の概要 |
本研究は、若年女性を対象に“自分はダイエットをしている”という自覚的認知と実際のダイエット行動との一致、不一致に着目して、個人の心理傾向と精神的健康やダイエット効果との関連性を明らかにし、個人差を考慮した効果的なダイエット方略についての新たな情報提供に繋がる知見を得ることを目的とした。 29年度は、研究1において作成された「健康的なダイエット方略チェックリスト(C-HDS)」の因子構造ならびに過食、痩身願望との関連性についての研究成果を「the 51st ABCT」にて発表し、「Bulletin of Tokyo Denki University, Arts and Sciences」(vol.15)に論文として公表した。また研究2-1にて実施したダイエットの自覚的認知とC-HDSによって測定されるダイエット行動との相違および気質(行動抑制系、行動賦活系)、痩身願望、過食傾向の各変数との関連性について検討した横断調査の結果を「日本パーソナリティ心理学会第26回大会」および「日本心理学会第81回大会(自主企画シンポジウム(話題提供)」にて発表した。 また、研究2-2として、ダイエット実践における自覚的な認知とダイエット行動の相違と気質、認知傾向が減量・体重維持効果、精神的健康におよぼす影響を検討するため、一般若年女性(20~34歳)を対象にオンライン調査による縦断調査を実施した。1回目、2回目(1ヶ月後)、3回目(3ヶ月後)の調査において、最終的に817名より回答を得た。分析の結果、ダイエットの実践を自覚的に認知している者は、いずれの時期においても行動賦活系が高く、中でも駆動、刺激探求が高いこと、および痩身願望、過食傾向が高いことが明らかとなった。よって、ダイエットの自覚的認知とこれらの心理傾向が健康的なダイエットの阻害要因となり得ることが考えられた。
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