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2014 年度 実施状況報告書

高齢がん患者と家族を対象とした終末期の治療選択に関する心理支援プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26780406
研究機関近畿大学

研究代表者

塩崎 麻里子  近畿大学, 総合社会学部, 講師 (40557948)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード意思決定 / がん患者 / 高齢者 / 心理的支援 / 家族
研究実績の概要

加齢が意思決定に及ぼす影響について検討する本調査に向けて、60-70代の高齢者312名と20-30代の若年者312名を対象に予備調査を実施した。予備調査の目的は、がん医療における終末期の治療選択状況(延命治療か緩和ケアか)でみられる高齢者の意思決定の特徴を、シナリオを用いた質問紙調査によって探ることであった。
分析の結果、高齢者は若年者に比べて、自らががんの終末期であった場合の治療選択として、延命治療を望まなかった(χ2=4.50, p<0.05)。同様に、家族ががんの終末期であった場合に治療選択においても、延命治療を望まない傾向がみられた(χ2=2.73,p<0.10)。そして、その決定に対するつらさや困難さは、いずれの場合も若年者に比べて少なかった(自分シナリオ;つらさt=4.01, p<0.01;困難t=4.61, p<0.01;家族シナリオ;つらさt=4.51, p<0.01;困難t=4.77, p<0.01)。感情調整に関しては、抑制方略には差がないものの(t=2.35, p<0.01)、再評価方略に関しては若年者に比べて高齢者が有意に高かった(t=0.02, p<0.01)。意思決定の理由について尋ねている自由記述項目において、高齢者は若年者に比べて、論理的な根拠よりも情動的な根拠を挙げ、かつ、選ばなかった選択肢のデメリットよりも選んだ選択肢のメリットを挙げる傾向がみられ、これは社会情動的選択性理論を裏付けるものとなった。
これまでの研究において、高齢者は、認知的負荷が増した状況における合理的な意思決定は若年者に比べて劣るとされてきた。しかしながら、合理的な意思決定自体が不明確な医療場面の意思決定においては、感情調整の再評価方略が促進されている高齢者は、満足度の高い、あるいか後悔の少ない意思決定という意味において効率的な意思決定行っている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度は、妊娠・出産に伴う体調不良のため、研究は予定通り遂行できなかった。また、産休・育休を取得したために、研究の進度は大幅に遅れている。

今後の研究の推進方策

研究期間を延長し、計画していた研究を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

妊娠・出産に伴う研究の遅滞のため。

次年度使用額の使用計画

遅れた分の研究の遂行を来年度に実施する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] がん医療における意思決定研究の必要性と可能性2014

    • 著者名/発表者名
      塩崎麻里子
    • 学会等名
      第21回日本行動医学会
    • 発表場所
      早稲田大学所沢キャンパス(埼玉県所沢市)
    • 年月日
      2014-11-23
  • [学会発表] 社会的問題解決理論を応用した膵臓がん患者の心理社会的問題と対処法リストの作成2014

    • 著者名/発表者名
      塩﨑麻里子・酒見惇子・佐藤貴之・江口英利・種村匡弘・北川透・伊藤壽記・平井啓
    • 学会等名
      第27回日本サイコオンコロジー学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2014-10-03
  • [学会発表] 外来通院中の膵臓がん患者とその家族の心理状態とその関連性の検討2014

    • 著者名/発表者名
      酒見惇子・塩崎麻里子・佐藤貴之・江口英利・種村匡弘・北川透・伊藤壽記・平井啓
    • 学会等名
      第27回日本サイコオンコロジー学会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2014-10-03
  • [学会発表] 1-2施設でできる研究のエッセンシャルズ:調査研究のデザイン2014

    • 著者名/発表者名
      塩崎麻里子
    • 学会等名
      第19回日本緩和医療学会
    • 発表場所
      神戸国際展示場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-06-21
  • [学会発表] 加齢および将来展望と感情調整の関連-若年・中年・高齢者の比較-2014

    • 著者名/発表者名
      増本康平・太子のぞみ・塩崎麻里子
    • 学会等名
      第56回日本老年社会科学会
    • 発表場所
      下呂交流会館アクティブ(岐阜県下呂市)
    • 年月日
      2014-06-08
  • [学会発表] 自動車運転中止・継続の意思決定における加齢及び保有効果の影響2014

    • 著者名/発表者名
      太子のぞみ・塩崎麻里子・増本康平
    • 学会等名
      第56回日本老年社会科学会
    • 発表場所
      下呂交流会館アクティブ(岐阜県下呂市)
    • 年月日
      2014-06-08

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公開日: 2016-06-01  

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